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「シエラちゃん、そっち側の肩下からいけそう?」
「ん? こっちかい?」
「そうそう! せーので動かそう!」
「ちょちょちょちょちょちょ待て待て待て待て!! いいって、無理すんなって!!」
あわてふためいて、抜け出そうとする。私の方はなかなかつかめないけど、左側はがっちりと固定されて動かせてない。シエラちゃん力持ちなんだなあ。
「……ボクとの契約はもう少し先になりそうだね」
「あ、えっと……」
それは、と言いかけたところで、ずるりと褐色の腕が滑る。あわてて持ち直そうとして、つい力んで変な持ち方になる。明らかに森永くんを支えられてない。みちみちと筋肉質な右腕をつまむようにしたせいで、「いででででで」と悲鳴が上がっている。
「奥宮、ちょ、おまえ、支えきれてないって!! 無理しなくていいって!!」
「森永くんが動かすからじゃ、うわっ!?」
「おっとっと……いっそボクが彼を引き受けたほうが早いかな?」
「勘弁してくれ……」
諦めたようなか細い声がした。と同時にシエラちゃんが引っ張り上げる。大きなテディベアを抱えるように前抱きにされたメイジくんはさらに顔を覆っていた。
プライドを傷つけて本当に申し訳ないけれど、そのままにするのもしのびない。
「とりあえず、メイジくんと一緒にいた悪魔さんを探しに行こっか」
「……キミがそういうのならそうしよう」
ちょっと不満そうに言われて、ちょっとだけ反省しつつ、瓦礫を乗り越えて進むことにした。
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