100万円と60日【ポケスペ】 (ページ3)

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【一日目】～交渉・作戦！～ページ3

「……トゲチック！じゃあ、無い…？」

Aの視線の先に居たトゲキッスは、申し訳なさそうにAに近寄った。

「(もしや、私のトゲチック……？そうだとしても、なんで進化してるんだろう)」

Aが腕を組んで考えていると、後ろから……とてつもなく低いトーンの声が聞こえてきた。

「……そのトゲキッスは、お嬢ちゃんのポケモンかい？」

「ひっ！……あ、多分……そう、ですけど……。(私、もう立派なお姉さんなんだけど。誰だよこのおじさん)」

「……そのトゲキッスが、俺の貴重な光の石を触ったんだよ」

「？……あ、だからトゲチックがトゲキッスに……。……私があやまります。ごめんなさい！」

頭を下げられると、男性は「うーん」と呟いて、もう一度Aに話しかけた。

「許してあげたいところだけど、そうはいかないんだよねぇ……」

「そ、そうなんですか？……私の責任ですから、代償に何か……」

男性はニヤリと笑って、Aに交渉を持ちかけた。

「そうだなあ。……今日から60日以内に、100万円を用意する……というのはどうだい？」

「え！無、……わ、分かりました。必ず用意します」

「そうか。なら良かった。……では、60日後のこの時間に持ってこいよ……」

「……は、い……」

男性の黒い笑みに負けて、思わず「用意する」と言ってしまった。嵐が過ぎ去ったように、緊張が解けた。

「……み、みんな。作戦会議……しようか！あそこで！」

Aは、有名なお菓子屋を指差してトゲキッスを明るくさせようとするが、逆効果。空気が更に重くなった。

「…だらだらする前に、行こう！期限が過ぎちゃうよ」

Aは、トゲキッス達のの手を引いて、お菓子屋に入った。

ムシャムシャ、ボリボリ、カリカリ。
ポケモン達が食べるお菓子の音が、耳に響いている。

「……幸せをぶち壊すみたいでごめんね。作戦会議だよ」

「(だってよ、トゲキッス。話そうぜ)」

「(う、うん)」

トゲキッスが食べ物を食べるのをやめて、ポケモン達がみんな椅子に座ったところで話を続ける。

「うん。みんなが食べてる間に考えたんだけど……」

「じゃーん」と言って、薄い髪の本を見せつける。
左手には、ジョウト地方のパンフレット。右手には、カントー地方のパンフレットが握られていた。

見せつけると、ポケモン達は首を傾げた。

「お小遣い稼ぎに、ジョウト地方とカントー地方に行きたいんだよね。……どう？」