No.049 後日談 ページ49
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「ねえ、サブ」
「あ？」
「なんか元気なくない？」
「なにが？」
「ゲンのこと」
Aがとても心配そうな顔をして俺に相談してきたのは、グリードアイランドから現実に帰ってきて、数日後のことだった
「そうか？」
「やっぱり、500億ほしかったのかなあ」
呟くように言って、しょんぼりとうなだれるAを抱き寄せてやりながら、Aの見つめる先にいるゲンスルーの様子をうかがってみるが、俺にはそれほど元気がないようには見えなかった
500億が手に入らなかったことに落ち込んでいるはずなんてないと、俺はわかっている
だってその金はAのためで、Aからは必要ないから大丈夫と言われているのだから、金が手に入らないことで落ち込んでいるわけではないだろう
Aの足が治らないことに対してだろうか
「なあ、本当に元気ないのか？俺にはわからねえよ」
「私もハッキリわかるわけじゃないけど」
「話しててなんか気になることでもあるのか？」
「時々、上の空なの」
「本当か？お前が話しかけてもそんな感じなのか」
「うん」
「ちょっといま行ってこい」
「え、いま？」
「ああ。ちょうどぼんやりしてんだろ」
「まあ……いいよ。見ててね」
煙草を吸いながらぼーっと外を見ているゲンスルーのもとへ、Aを行かせる
Aは勢いそのままにゲンスルーに抱きついて、それをゲンスルーは驚きながらもしっかり受け止めているし、まだ吸いはじめたばっかりだった煙草を危ないからと地面に落として足で消しているし、俺にはいつも通り、Aにだけバカみたいに甘いゲンスルーにしか見えなかった
何を話しているのかは聞こえない
ただ心配そうに眉をひそめていたAの顔が、ゲンスルーと話しているうちにだんだんと柔らかくなっていって、最後は嬉しそうに笑って首に抱きついてキスをしていたから、きっと大丈夫なのだろうと思った
きっと、暇すぎて何をしたらいいのかわからないだとかそういうことだろう
それがわかれば、こんなところで覗き見するような趣味はない
俺は自分の煙草に火をつけてから、Aとゲンスルーに背を向けてその場をあとにした
500億なんて無くたって、俺たちは何も変わらない
Aも成人して、そろそろこんなに距離感がバグったままでいてはいけないのではないかと思うこともあるけれど、ゲンスルーとAがいいなら、いつまでだってこのままでいいのだ
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ライ(プロフ) - カナさん» こちらも読んでくださってたんですね！ありがとうございます。楽しんでいただけたみたいでとても嬉しいです！ (2020年9月28日 10時) (
レス) id: 182c279fa9 (このIDを非表示/違反報告)
カナ(プロフ) - 最期まで読みましたがとっっっても面白かったです！！！！ゲンスルーの作品中々ないので読めて幸せでした。もし続編があったら楽しみにしてます！改めて完結お疲れ様です！ (2020年9月28日 0時) (レス) id: 653b7cacce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ライ | 作成日時：2020年9月25日 10時
