No.048 離脱 ページ48
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「だってみんなが、私のことだっこしてくれるでしょ？」
Aが笑って俺の右腕を離すと、俺に向かってパッと両手を広げて、勝手に後ろに倒れていこうとする
慌てて支えれば、心底嬉しそうにはにかんだ
咄嗟にAを支えようと手を出したバラも苦笑いしている
「ね、だっこして」
「仕方ないな」
「ほら」
「Aにねだられれば俺たちはいつでもしてやるよ」
「ほんと？」
「ああ。お前にたとえ両足あってもな」
「ゲンって優しいよね」
「お前にだけな」
「私、特別なんだね」
Aは俺の首に腕を回して、とても嬉しそうだ
「俺たちさっきボコボコにされたばっかなんだがな〜」
「結局サブがいちばんダメージ残ってるよな」
「バラとゲンは治してもらってよかったな」
「屈辱だろ」
「ゲンだって情けかけられてたろうが」
「それが屈辱だっつってんだよ」
「まあなー、ガキがあんな強いと思わなかったし」
「マジでイカれてたな。俺らよりすげーイカれてた」
Aが回収してきてくれた俺の眼鏡は、レンズが割れてフレームが変な方向に折れ曲がっているから、かけないままで歩いているが、それも特に支障はなかった
「ゲン、これからどうする？」
「とりあえず金だよなあ」
「Aなにしたい？」
「4人で一緒にいられたら、なんでもいい」
「とにかくいつもの寝床に帰るか」
「壊されてたりしないよね？」
「壊されてたらまた作ればいいだろ？」
「うん」
Aにキスをして、頭を撫でて、グリードアイランドをはじめる前と同じ日々がはじまる
俺たちが警察に捕まらずに生きてこられたのは、Aが居たからだし、Aが金のために体を売ったりせずに生きてこられたのは、俺たちの存在が大きいだろう
そうやって、4人で身を寄せ合って助け合って生きていく生活であれば、世間から見たらいくら底辺でも、とにかく楽しくて幸せで、これから先もずっとそのままでも、なにも悪いことなんてないのだ
500億なんていう、オーダーメイドの義足を作ったとしても俺たちには持て余すような大金、最初から手に入れるべきではなかったのかもしれない
Aのバインダーに残していたリーブで現実世界に戻って、俺たちは徐々に、グリードアイランドとかいうクソゲームを知る前の状態に戻っていった
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ライ(プロフ) - カナさん» こちらも読んでくださってたんですね！ありがとうございます。楽しんでいただけたみたいでとても嬉しいです！ (2020年9月28日 10時) (
レス) id: 182c279fa9 (このIDを非表示/違反報告)
カナ(プロフ) - 最期まで読みましたがとっっっても面白かったです！！！！ゲンスルーの作品中々ないので読めて幸せでした。もし続編があったら楽しみにしてます！改めて完結お疲れ様です！ (2020年9月28日 0時) (レス) id: 653b7cacce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ライ | 作成日時：2020年9月25日 10時
