No.047 残ったものは ページ47
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隠したいわけではないが、500億が手に入らないとわかりきっているいま言うのも、なんともダサくて恥ずかしい
「あー、おいサブ！お前が言え」
「はあ！？そこはゲンが言うべきだろうが」
「お前がこの話持ってきたんだろ」
「俺じゃねーよ！バラだ！」
「ならバラが言え」
「は！？飛び火がひでーなおい。ゲンが言ってやれよ」
「え、知らなかったの私だけなの？」
男たちが醜く押し付けあっているうちに、Aは寂しそうに俺の右腕を強く抱きしめた
「まあ、Aのための500億だったからな」
「え？どういうこと？」
「……お前の義足、ガタガタしてるだろ」
「してるけど」
「オーダーメイドの義足作ってやろうと思ったんだよ」
「義足？」
「歩きやすい義足だ」
「そんなの、いらないよ……」
「まあ最初は義足のつもりだったが、終盤は大天使の息吹を持ち帰ってお前の足を治そうとしてたんだ」
「え？」
「契約違反だがな」
「え、全部私なんかのためだったの？」
「なんかとか言うな」
結局全部言ってしまったが、500億は手元に無いし、それどころか手持ちの金はほとんど無いし、Aの義足も新調できないし、クリアしていないから大天使の息吹も持って帰れないし、せめてゲーム内だけでも治してやろうと思っても、いま俺たちのバインダーには大天使の息吹なんて入っていない
踏んだり蹴ったりで、残ったものは命だけ
5年もストレスためながら他人を欺き続けて、いろんな奴を殺して、5年もAと離れて待たせて、結局俺は、Aになんにもしてやれないのだ
それでも多分、Aは俺たちが生きているだけで良かったと言って泣くし、実際それでいいと思っているのだろう
Aは俺たちの話に相当驚いているみたいだった
歩くのをやめて俺の右腕を掴んだまま手を口に当てて固まってしまって、俺たちもそれに合わせて足を止めている
「嬉しい」
「そうか。悪いな、結局ダメんなっちまって」
「そんなのいいよ、嬉しいから」
「クリアできなきゃ意味ねえだろうが」
「でも私、精度のいい義足なんか要らない」
「治したほうがよかったよな」
「違うの。治らなくて大丈夫。義足も要らない」
「いまだって相当歩きづらそうじゃねえか」
「ううん。本当に」
「はあ？」
「だってみんなが、私のことだっこしてくれるでしょ？」
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ライ(プロフ) - カナさん» こちらも読んでくださってたんですね！ありがとうございます。楽しんでいただけたみたいでとても嬉しいです！ (2020年9月28日 10時) (
レス) id: 182c279fa9 (このIDを非表示/違反報告)
カナ(プロフ) - 最期まで読みましたがとっっっても面白かったです！！！！ゲンスルーの作品中々ないので読めて幸せでした。もし続編があったら楽しみにしてます！改めて完結お疲れ様です！ (2020年9月28日 0時) (レス) id: 653b7cacce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ライ | 作成日時：2020年9月25日 10時
