No.042 クリア報酬 ページ42
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「なあ、クリア報酬の話なんだが」
Aが眠っているのを確認してから、声をひそめてサブとバラを呼んだ
俺に真正面から抱きついたまま、気持ちよさそうに寝息を立てて眠っているAを起こしてしまわないよう、細心の注意を払って声を出す
「なんだ？」
「カード3枚を現実に持って帰れるんだよな？」
「ああ。そうらしいな」
「だが、その3枚はバッテラの指定したカードだ」
「それがなんだ？そういう契約だし、仕方ないだろ」
「そうだな。だが、500億が必要ないなら、カード3枚を自分たちのものにしてもいいんじゃないか？」
「どういうことだよ」
「大天使の息吹を持って帰りたい」
「どうして」
「Aの足を治したいんだ」
急に突飛なことを言い出した俺を、サブは怪訝な顔をして見ていたが、俺が至って真剣なのだとわかって、考え始めた
「それは俺も思ってた」
「たしかに、いいかもしれない」
「だろ？」
「ゲーム内で治しても、意味ないのか？」
「わからん。ただ大天使の息吹を持って帰りたいんだ」
「500億でちゃんとした義足作るより、治ったほうがいいに決まってるよなあ」
「こんなカードがあると思わなかったもんな」
「Aの足を治せるなら、金は要らない」
「ま、ゲンがそう言うなら俺はいいよ」
「俺も！Aの足が治ってくれたほうがいいし」
「契約違反だが、いいな？」
「いいさ。あんな金持ちのジジイに従う理由はねえ」
「ああ」
俺の問いに、サブとバラが力強く頷いた
同意してくれて良かったと心から思う
Aのためのことを反対されるとは思わなかったが、これは大天使の息吹の能力をきいたときから、ずっとひとりで考えていたことだった
オーダーメイドの義足のために大金が必要で、500億をそのための資金にしたくて参加したが、Aの足が治るならそれ以上に嬉しいことはないのだ
「ゲーム内で使って現実も治るなら、いますぐゲインしちまうのにな」
「やってみるか？」
「いや、リスクがデカい」
「ま、そうか」
「ツェズゲラのほうが引き換え券持ってるだろうしな」
「ならやっぱ、はやくクリアしちまわねえと」
「そうだな」
全員の目的をはっきりさせて、もう一度決意を新たにする
まだ静かに眠っているAの頭を撫でた
はやくクリアして、はやく現実に帰って、Aの足をはやく治してやりたい
あとは一坪の海岸線と奇運アレキサンドライトのカードだけだ
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ライ(プロフ) - カナさん» こちらも読んでくださってたんですね！ありがとうございます。楽しんでいただけたみたいでとても嬉しいです！ (2020年9月28日 10時) (
レス) id: 182c279fa9 (このIDを非表示/違反報告)
カナ(プロフ) - 最期まで読みましたがとっっっても面白かったです！！！！ゲンスルーの作品中々ないので読めて幸せでした。もし続編があったら楽しみにしてます！改めて完結お疲れ様です！ (2020年9月28日 0時) (レス) id: 653b7cacce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ライ | 作成日時：2020年9月25日 10時
