No.025 許せない ページ25
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「誘われたの。組まないかって」
「それで?」
「もちろん断ったよ。でも引き下がってくれなくて」
「そうか。怖かったな」
「困ったら交信してって言われた」
「ナンパじゃねえか」
たしかにジスパーはAと歳も近く、顔もブスではないし、話が合うかもしれないが、Aを怖がらせた人間は誰であろうと生かしておけない
はやく派手に爆破してやりてえ
「大丈夫だったか」
「何もなかった」
「本当か?」
「うん。本当に何もなかったから覚えてなかったんだよ」
「そいつに名前は教えたか?」
「うーん。言ったかもしれない」
「そうか」
「でも、念能力は見せなかったよ」
「お、えらいな」
不安そうな顔になったAの髪をぐしゃぐしゃに撫でてやると、本当に嬉しそうに笑った
Aから目を離したサブとバラに怒りはあるものの、何とも無かったなら、不幸中の幸いと言える
軽々しくAに話しかけたことや怖がらせたこと、Aの視界を汚したことはやはり許せないことだが、どうせ最終的には殺すのだから、いまは生かしておいてもいいだろう
「なあA、その時は裸じゃねえよな?」
「は?」
とりあえずジスパーの話はこれで終わろうとしていたのに、サブの少し慌てたような確認で怒りが戻ってきた
裸じゃねえよな、ってどういうことだ?
「ひとりのときは、足だけ……だったと思う」
「思う?」
「たぶん……」
「おい、どういうことだ」
Aを腕にかかえたまま、なにやら焦ったような顔をしているサブに詰め寄る
説明してもらわないと2人の会話の意味がわからない
「俺と一緒に行ったとき、その泉で水浴びしてたんだ」
「なにも身につけず?」
「ああ。周りにいたのは俺だけだし、バラが見張ってたから。ダメだったか?」
「それはいい。問題はジスパーも見たのかってことだ」
「いやそれはどうやら違うみたいだが」
「殺す」
「おいゲン!」
前言撤回、いますぐ殺す
サブはいろいろと言い訳をしているが、Aの裸をサブが見たということは全く問題ではないのだ
もともとは4人で一緒に風呂に入っていたし、Aも俺たちも特に気にせず互いの前で着替えたりするし、というかAには羞恥心というものがないのか、平気で俺たちにトイレについてきて欲しいとか頼んでくるし、下着もそこらへんに干したりする
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ライ(プロフ) - カナさん» こちらも読んでくださってたんですね!ありがとうございます。楽しんでいただけたみたいでとても嬉しいです! (2020年9月28日 10時) (レス) id: 182c279fa9 (このIDを非表示/違反報告)
カナ(プロフ) - 最期まで読みましたがとっっっても面白かったです!!!!ゲンスルーの作品中々ないので読めて幸せでした。もし続編があったら楽しみにしてます!改めて完結お疲れ様です! (2020年9月28日 0時) (レス) id: 653b7cacce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ライ | 作成日時:2020年9月25日 10時