No.020 バラと合流 ページ20
.
「お、バラだ」
「バラーー！！」
バラが見張りをしていたところについて、Aに名前を呼ばれたバラが振り返る
急に体勢を変えたせいでAを落とさないよう必死になっている俺を見て、バラが盛大に吹き出した
「なんだお前ら、仲良しか」
「仲良しだよー」
「ちょ、A！急に暴れるなって」
「暴れてないじゃん」
「暴れてるだろ！」
「ちょっとバラ呼んだだけでしょ」
「危ねえだろ」
「ねえバラ、サブうるさいから抱っこして」
「は？お前なあ」
「いいぞ」
「やったね」
Aをバラにとられた
ここまで運んできた礼も無く、どんだけ自由なんだこいつ
なんて思っても、かわいいのですぐ許してしまう
俺に向けていたようなにこにこ笑顔を、すでにバラにも向けていて、ゲンスルーとの違いに少しため息が出た
ゲンスルーのときは、もっと、上手く言えないがかわいい顔をしているのだ
もちろんいまもすごくかわいいが
「水浴び終わったのか」
「うん。楽しかった」
「寒くねえか？」
「バラもサブも、ふたりとも同じこと聞くね」
「俺たちはお前が心配なんだよ」
「寒くなかったよー」
「いや、こいつくしゃみしてたぞ」
「ちょっとサブ！言わないでよ」
こんなにAが元気そうなのは久しぶりだった
ゲンスルーがそばにいないということだけで、あんなに落ち込んでいたのに、いま楽しそうに笑っているだけで良かったと思う
それなのにAは、いま自分が着ているゲンスルーのジャケットに顔を埋めてから、少し寂しそうな顔をした
「この服、もうゲンの香り消えちゃった」
「あー、毎日お前が着てるからなあ」
「会えたらいま来てる服剥ぎとってやりゃあいい」
「それいいな」
「だろ？な、A」
「うん」
バラがAの頬にキスを落として、それに対して少し微笑んだあと、すっと眠ってしまった
久しぶりに太陽を浴びて、はしゃいで、疲れたのだろう
「はやくゲンが来てくれねえとキツイな」
「俺たちじゃなあ」
「かわいい顔して寝やがって」
「ゲンはやく来いよ〜」
バラとふたりでこうやって願ったところで、ゲンスルーが来ないことはわかっているのだが、それでもはやく来いと思ってしまうくらい、Aが限界だった
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 14人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ライ(プロフ) - カナさん» こちらも読んでくださってたんですね！ありがとうございます。楽しんでいただけたみたいでとても嬉しいです！ (2020年9月28日 10時) (
レス) id: 182c279fa9 (このIDを非表示/違反報告)
カナ(プロフ) - 最期まで読みましたがとっっっても面白かったです！！！！ゲンスルーの作品中々ないので読めて幸せでした。もし続編があったら楽しみにしてます！改めて完結お疲れ様です！ (2020年9月28日 0時) (レス) id: 653b7cacce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ライ | 作成日時：2020年9月25日 10時
