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No.018 痛々しい傷痕 ページ18

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何を言っても俺が一緒に入ることはないとわかったのか、Aは怒ったように頬を膨らませた



「ふん」

「お、怒ったか?」

「怒ってないけど、サブには水かけちゃお」

「うわあっ」



俺の足に水をかけて楽しそうに笑っているAがかわいいから、ジーンズがびしゃびしゃに濡れてしまったことなんてすぐにどうでもよくなってしまう
これだけ太陽が照っていれば、ここにいる間に乾いてしまうくらいだろう



「水、冷たすぎねえか?寒くなったらすぐ言えよ」

「うん。大丈夫」

「ま、こんだけ陽が高いしな」

「……はやくゲンに会いたいなあ」



水をすくっては自分の膝にかけて、さらさらと流れ落ちていくのを見つめて寂しそうに呟くAに対して、俺は髪を撫でるか水を肩にかけるくらいしかできないのが歯痒い

ゲンスルーなら、こういう時に何をするんだろう

俺に言える言葉は何だろう

切なそうに俺を見上げたAは18歳とは思えないほどあどけない顔をしているのに、体はちゃんと成長していた

痛々しい傷が右足の付け根にあるのは変わっていない
それは左足を失ったときのものではなく、Aが強 姦に襲われたときのものだ
この傷を見るたび、ゲンスルーは何度でも怒ったし、バラは睨みつけて舌打ちをしたし、俺は悲しいと思っていた
はやく消えろと願っていたのに、襲われてから5年近く経ってもこれほど残っているということは、きっと一生、Aの身体に残り続けるのだろう
また、俺は悲しいと思ってしまった

最近は一緒に風呂に入ることもめっきりなくなっていたから、久しぶりに見たAの裸は、やっぱり肌が綺麗で、やっぱり傷は痛々しくて、純粋に大人になっていた



「ゲン、大変かな?」

「さあな。話した限りじゃ気が合いそうになかったが」

「そっかー、ならすごく頑張ってるんだね」

「らしくねーよな」

「うん。そんなに500億欲しいんだ」

「あー……そうみてえだな」



Aには、どうしてこのゲームに参加して500億という大金を手に入れようとしているのか、本当の理由はまだ言っていない
自分の義足のためにゲンスルーがストレスばっかり受けて他人と仲間のフリをしているなんて知ったら、Aはもうやめようと言い出すだろう

それを言わせないために、ゲームクリアに手が届きそうになってから使い道を教えるつもりなのだ
まあ、いつか言うことにはなるだろうが、わざわざこんなところでネタバレしなくていいのだ







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ライ(プロフ) - カナさん» こちらも読んでくださってたんですね!ありがとうございます。楽しんでいただけたみたいでとても嬉しいです! (2020年9月28日 10時) (レス) id: 182c279fa9 (このIDを非表示/違反報告)
カナ(プロフ) - 最期まで読みましたがとっっっても面白かったです!!!!ゲンスルーの作品中々ないので読めて幸せでした。もし続編があったら楽しみにしてます!改めて完結お疲れ様です! (2020年9月28日 0時) (レス) id: 653b7cacce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ライ | 作成日時:2020年9月25日 10時

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