No.003 参加決定 ページ3
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「ゲン、何の話?」
「ちょうどよかった。A、ゲームやるか」
「ゲーム?どんな?」
「念能力のある奴しか出来ねえゲーム」
「ふーん……ゲンは?みんな一緒?」
「ああ」
「ならやる」
「危ねえこともあるかもしれねえが」
「大丈夫」
「まあ、お前は戦わせねえから」
俺がそう言って頭を撫でると、Aはムッとした様子で睨みつけてきた
実は俺たちの中でいちばん強いのはAなのだが、俺を含めサブもバラもAを危険に晒したくないから、できるかぎり戦わせないようにしているのだ
ムッとした顔のまま俺の膝の上に乗ってきて、当たり前のようにそこに居座る
長い髪に優しくキスをしてやると、少しは機嫌が良くなったようだ
「あんまり心配させるな」
「大丈夫って言ってるじゃん」
「強いのは知ってる。だがその義足じゃ走れねえ」
「でも、」
「俺たちはお前が大切なんだ。心配なんだよ」
「……わかってるよ」
「俺たちのそばを離れるなよ」
「うん」
少しふてくされていたAが素直に頷く
客観的に見たら俺たちの中でいちばん強いAを戦闘に参加させないのは、簡単に言えば俺たちの過保護で、過信で、ただのエゴだった
それでも、Aにこれ以上怖い思いをさせたくないと切望するくらい、Aはかわいそうな人生を送ってきていると思ってしまう
もともと盗みも人殺しも嫌いだったのに
ある時からそれに何も感じないようになって、俺たち以外の人を全員嫌いになって、それから、俺たちがとめても攻撃をやめなくなった
そのせいで恨みを買っていろんな奴に喧嘩をふっかけられるようになっても、俺たちは別に構わなかったが、俺はAの手を、あまり汚させたくなかったのだ
Aは4人の中でひとりだけ女の子で、歳も俺たちとは大きく離れていたから、大切にしたかった
ただAのことが、みんな大切で、心配なのだ
そうして3人で守るようにして生きてきて、Aにはあまり目立った行動をさせないようにしていたのに、ちょうど1年前くらいに、金が欲しくて襲った貴族に死ぬ間際の悪あがきをされて、Aの足は傷つけられたのだ
明らかにAだけを殺そうとした攻撃だった
その時、俺たちは勝ちを確信していて油断して、誰もAを攻撃から庇うことができなくて、そのせいでAは左足の膝から下をほぼ全て失い、いまは精度の悪い義足をつけて生活している
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ライ(プロフ) - カナさん» こちらも読んでくださってたんですね!ありがとうございます。楽しんでいただけたみたいでとても嬉しいです! (2020年9月28日 10時) (レス) id: 182c279fa9 (このIDを非表示/違反報告)
カナ(プロフ) - 最期まで読みましたがとっっっても面白かったです!!!!ゲンスルーの作品中々ないので読めて幸せでした。もし続編があったら楽しみにしてます!改めて完結お疲れ様です! (2020年9月28日 0時) (レス) id: 653b7cacce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ライ | 作成日時:2020年9月25日 10時