先輩？そんなの関係ないですよね【名前変換オリジナル】

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＊恋side＊

『なに？どうかしたの？』

電話に出たのは少しイラついたような声の女の人。

これが先輩のお母さんか。

電話のむこうでは、色々な声や音がする。

『ちょっと？今締切迫ってて忙しいのはAも知ってるでしょ？用件を早く言いなさい』

そうだった。早く伝えないと。

「あの、俺先輩じゃないです。安川先輩の後輩の荒牧恋っていいます」

声が上ずりそうだけど、なんとか言えた。

先輩のお母さんは『何であなたが？』って言いながら声を潜めた。

「安川先輩が高熱で倒れたんです」

『Aが？大丈夫なの？』

先輩のお母さんは一気に声色を心配そうに変えた。先輩、愛されてるなあ。

「俺には分からないんですけど、保健医は帰った方がいいって言っているんですけど」

『ごめんなさい。あの子も心配だけど、私も今日締め切りの雑誌があって編集長としては帰れないの。もし、よかったら荒牧君にAを任せちゃ迷惑かしら？』
「全然迷惑なんかじゃないです」

おっと……がっついてしまった。

先輩のお母さんから家までの道筋を教えてもらってから、俺は電話を切った。

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