104期がモンハンの世界へ行った話 (ページ3)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:298 hit

ハンター見習いページ3

夜が更けたアステラ。海が一望できる食事場で、料理長オススメの焼き鳥を頂く。
Aは酒を片手に話しかける。

「ジャンはスリンガー扱うの上手だよね。双剣も慣れるの早かったし」

「まぁ、ここに来る前は似たようなもん使ってたからな」

「調査兵団？だっけ。私たちと似たような人たちが、どこかにいるんだねー」

「……」

見つめる先は、月明かりに照らされて広大に広がる海。
夢物語だと思っていた。壁に囲まれた生活では、存在するはずがないと笑い話にされていた。

正直、海の向こうに自分の故郷があるとは思えない。どうやって自分がここへ来たのかも分からないし、誰も壁や巨人の存在を知らない。

さざ波をBGMにしてしんみりした空気が流れると、ジャンの肩に衝撃が走った。

「よっ、ジャン！見習い頑張ってるか～？」

「ちょっと、後輩を巻き込まないでよ」

逆立てた赤髪が特徴のヴァルトは、酒を片手にジャンの肩に腕を回す。
後ろから相棒のシェーンが水を持ってきて、酒と入れ替える。ヴァルトはそれに気が付かないくらい酔っていた。

「おもっ……飲みすぎっスよ、先輩」

「聞いたぞ～？最近ボルボロスを狩ったらしいじゃねぇか！見習いにしてはいい実績だな！」

「ヴァルト、シェーンを困らせないでよ。あんたは酒が入ると面倒臭いんだから……」

「なんだよA、つめてーな。同期なんだから多めに見ろって！」

呆れたシェーンがヴァルトの耳を摘み、引っ張りあげる。

「ほら、二人の邪魔しない！」

「いででで！取れる！取れるって！」

「ごめんね。すぐ連れていくから。……A、今度調査の話を聞かせて」

「うん。じゃあね」

遠ざかっていくあの二人は、案外バランスが取れていていいコンビだ。

「なんなんだよ……みんなして見習い見習いって……」

「あれでも心配してるんだよ」

「まだ俺は心配されるほど弱いって言いてえのか」

「うん！」

「！……そんなはっきり言うなよ」

ジャンは焼き鳥を頬張り、何本目かの串を皿に置いた。
Aはその肩をバシッと叩く。

「よし！明日もみっちり鍛えてあげるからね！」

「い、いや……一人で大丈夫だ」

「何言ってんの。強くなりたいんでしょ？遠慮しない。」

「(こいつスパルタなんだよな。身が持たねぇって！)」

恐らく、容赦なく追い詰めてくる地獄のトレーニングが待っているのだろう。ジャンの顔は引き攣った。