1人目拾いました ページ2
深く沈んでいた意識が浮き上がって、瞼の向こうから眩しい光が降ってくる。
そして、二つの声も。
「おーい。こんなとこで寝てたら危ないよー」
「旦那さん、近づかない方が良いニャ」
「でも、放っておいたらジャグラスが巣まで運んでいっちゃうよ」
「だってコイツ怪しいニャ！ こんなところで寝るなんて頭おかしいニャ！」
うるせぇな……。人が気持ちよく寝てんのに邪魔すんなよ……。
ってか眩しいな。カーテン開けたやつ誰だ。
「おいコニー……カーテン閉めろ」
「僕はコニーじゃなくてロジーニャ」
「おまえ何言って……っ！？」
ゴツ、と頭に硬い何かが当たって、痛みで飛び起きた。
「な、にすんだ、クソ！ 痛てぇな！」
「ロジー、それは人に向ける物じゃないでしょ」
「寝惚けてるヤツには丁度いいニャ」
「……は？」
猫が、喋った。
「君、どこから来たの？ アステラにはいなかった顔だけど」
「……え……あ、夢か？……待て、ここどこだ？ みんなは……？」
「……混乱しちゃってるじゃん、ロジー」
「ち、違うニャ！ そんなに強く叩いてないニャ！」
「やっぱり喋った！ おい、なんなんだこいつ！」
「アイルーも分からなくなってるよ……。どうすんの」
「アイルーを知らニャい人間なんているはずないニャ！」
「夢なら覚めてくれっ……！」
数ヶ月後
「やばい。プケプケ捕獲しなきゃ行けないのに……捕獲用麻酔忘れた」
「旦那さん……いい加減持ち物の確認くらいするのニャ。何年ハンターやってるニャ」
「腕は優秀なのに、ココがニャぁ……」と、ロジーは自分の頭をポンポンと叩く。こうして忘れ物で呆れるのは何度目だろうか。
「シビレ罠は持ってきたんだよ！」
「それだけじゃ捕獲できないニャ」
「戻るのやだなぁ」
肩を落とすと、離れたところから名前を呼ばれた。
顔を上げると、弧を描いて眼前に迫ってきたものをキャッチする。
それは今まさに求めていたもの。Aの瞳が輝いた。
「そんなことだろーと思ったよ」
「ジャン、ありがとう！」
「最近役に立つようになったニャ、見習いさん」
「おい、見習いって言うな」
「この前ドスジャグラスに引き摺られてたの見たニャ」
「忘れろ！」
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作者名：爽 | 作成日時：2020年5月15日 15時
