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廃ビルの思惑 ページ23

「お、もしかして…」


インテラが振り返ると丁度自分と同い歳位の青年が立っている。


「俺、川田海!君って…えーっと…インテラ君、でしょ?」

「そうすけど…」

「あぁ良かった!なぁなぁ、時間ある?」

「まぁ、少しは…てか、誰すか。」


後々説明するよ、と海はインテラの手を引く。

待って、という言葉が届かないほど。

海は楽しそうに走る。

その廃ビルに到着した頃には既に二人共息も絶え絶えだった。

鼠色の廃ビルは三階建てで、使われなくなって数年は経過しているらしかった。

あちこちボロがきているが崩れる心配はなさそうだ。


「ここが何…?」

「提案があるんだ。」


海が部屋に入ると、そこには黒い服を着た見慣れた顔が座っている。

その横には黒髪の少女と、整備士の服を着た青年も居る。


「黒狐…?」

「えっ、もしかして…テラ氏?」


思わぬ再会に喜ぶ2人を少女は物珍しげに見ていた。


「提案があるんだ、聞いて欲しい。」


海が机に地図を広げる。

いくつか赤いバッテンが記されている。


「ここは、ヒトエの居たカフェ。」


ヒトエという名前と海が指さしたバッテン印に皆の表情が曇る。

風の噂で聞いたり何だりと、皆それぞれ同じような情報を持っていた。

海は世界中を駆けずり回ってようやくだ。


「そしてここ、伊陸の真ん中。」


REN、気まぐれな海の協力者が住む場所。

露亜の端、海に面した場所。

サーカス団の拠点。

米架北、海の住処。

日基西、津原と奈倉が居る本丸。

独壱、フリードリヒとヒトエの元拠点付近。


「これがなに?」


彗人は相も変わらず警戒心が強い。

友人であるはずの海に対しても、だ。


「まぁ、話をすっ飛ばして言うと…同盟を組みたいんだ。」


黒狐の目が歪む。

それはそうだ、


「黒狐さんは…もう同盟に入ってしまっているんでしたっけ?」


そう、暗殺者協会という同盟に入ってしまっていた。

それでも、黒狐は分かっていた。

海とヒトエが仲が良いことを、

海がヒトエを助けるための資金集めに怪盗をしている事を。

断れなかった。

断る思いもない。


黒狐は海の後ろに立つ。


「…俺は何で呼ばれたんです?」


インテラが訝しげに問う。


「ヒトエを知っているから、ヒトエの境遇を知っているから。」


海はどこか悲しそうだった。

インテラは頷いて席を立つ。

彗人はしぶっていた。


「…彗人さん。」


海の乞うような目が痛かった。

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龍巳@キチガイ - 【 】nanashiさん» こわっ、てめぇ夜道には気を付けろよこの神文才野郎 (2017年2月9日 20時) (レス) id: 3d3a9ea8a1 (このIDを非表示/違反報告)
【 】nanashi(プロフ) - 寄越せ。文才寄越せください。 (2017年2月7日 22時) (レス) id: 1572cb3dd0 (このIDを非表示/違反報告)
龍巳@キチガイ - 夜のお外だいしゅきさん» 減るわやめろ (2017年2月7日 18時) (レス) id: 3d3a9ea8a1 (このIDを非表示/違反報告)
夜のお外だいしゅき - なぜだ。なぜくれない。いいだろう別に。お前の文才はちょっとやそっとじゃあ減らないだろう (2017年2月5日 21時) (レス) id: 2500df9be3 (このIDを非表示/違反報告)
龍巳@キチガイ - 夜の空気を吸い隊さん» 名前に笑った、そして嫌だ (2017年2月5日 20時) (レス) id: 3d3a9ea8a1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:龍巳@キチガイ | 作者ホームページ:ホームページの追加は禁じます。  
作成日時:2017年1月31日 16時

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