【金カム】坊主頭に興味が湧いて (ページ41)

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40話　気球ページ41

貴『土方さんは気付いてる…のかなぁ…』

度重なる土方の隠し事が、いつまでもミツキの心に引っ掛かる。
ニシン漁場から一緒に行動を共にしてきた白石だって、現にミツキに内緒で嘘の写しを作っていた。

けれども、舟から落ちそうになった時や札幌ホテルで気を失った時、自身を助けてくれたことは嘘じゃない。
しかし土方にも世話になった恩がある。

どちらの味方でもありたい。
これは我儘なのだろう。

貴『はぁ……寒くなってきた…』

…

翌朝、旭川にて。

ミツキはアシㇼパ達と、杉元達が無事戻るまで待機していた。
暫くすると、何やら空に気球が浮かんでいる。

アシ「杉元達だ！来い峰山！」

貴『はい！！』

馬に乗るアシㇼパの後ろに乗り、気球を追いかける。
頭上を見上げ、なにやら杉元を襲っているらしい兵士にアシㇼパが弓矢を打った。

貴『すごい…当たった！』

アシ「木に登るぞ！！」

そうして、逆さになったままの白石が木に巻き添えになったのを利用し、二人で白石に飛び乗った。

杉元「！アシㇼパさん、峰山！」

…

貴『危なかったですね…無事ではないにせよ、生きててよかった』

アシ「肩の銃弾は貫通してるが、左胸にはまだ弾が残ってる。あとで取り出さないと」

白石「こんな危険を冒してまで俺を取り戻しに来るなんて…俺は脱獄王だぜ？自分で逃げられたのに」

アシ「みんな白石を諦めようと言った。助けに行こうと言い出したのは、杉元と峰山だ」

白石「…！」

白石は「本当…？」と驚いた様子で、チラリと杉元とミツキを見た。

貴『…白石さんには恩がありますから』

白石「ミツキちゃん…」

ミツキは照れ隠しなのか、そっぽ向いて目を空に向けた。

杉元「…網走では白石が必ず俺達の役に立ってくれる。お前を信じてたから、助けに行こうと決めた」

「でも思い出したんだよ…白石」と不穏な声色で杉元は続けた。

杉元「ニシン番屋で出会った、変なジジイのこと…」

その言葉に、白石とミツキがピクリと反応する。

杉元「お前…土方と内通してたな」

白石「…っ！！」

白石の息が荒くなっていくのが隣にいるミツキにまで聞こえてくる。
殺されるとでも思っているのだろう。
そのまま上手く気球の骨組みを足場に逃げていく。

杉元「白石逃げるな！！これを見ろ！」

白石「…それは！」

そう言って杉元が懐から出してきたのは、辺見和雄の写しだ。
それを持っていると言うことは、でたらめに写された偽物だと知ったのだろうとミツキは察した。