【金カム】坊主頭に興味が湧いて (ページ36)

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35話　夢ページ36

杉元「しっかり…しろ…ッ出口に…ッ」

杉元とミツキは白石を間にし、腕を肩に乗せてなんとか運ぶ。
足元に転がる者達に構う余裕もなく、嘔吐物が口端から垂れ激しい眠気に襲われながらも、必死に出口へ向かった。

貴『…！？…ふさが…れ……っ』

杉元「みね…っやま…！あきらめるな…！」

木の板で塞がれた入り口に絶望したのかただ力尽きたのか、ミツキはバタリとその場に倒れてしまった。

…

『…ただいま』

"あら、なんで帰ってきたの？"

"てっきり死んだと思ってたのに…残念"

『なんで…そんな……』

"早くこんなのと縁切りたいわ"

"祖父と同じ変人だな"

"気色悪い"

私のことなんて…

まるで初めから家族ですら無かったように…

なんでそんなことが

平気で言えるの……？

"独身で恋人はいません。付き合ったら一途で情熱的です！"

…？

"日南の海、俺も連れてってネ！"

しらいし…？

そうだ…

炭鉱で爆発があって…

…

貴『しら……っ！ここは…』

咳き込みながらも起き上がると、牛山と杉元、白石とキロランケ、アシㇼパが視界に入る。

白石「！ミツキちゃん…！よかった…」

杉元「よう、生きてたか…」

貴「…なんとか…」

牛山「連れと夕張に来ていたが、ふらっといなくなってな。探していたらお前らがトロッコに乗ってるのを見つけたんだ」

杉元「連れ？」

杉元がそう聞くと、牛山は杉元達の後方に目をやる。

尾形「…しょうがねぇ。そいつら連れてこい」

貴『…男前ぇ…』

ミツキがぼんやり首を傾げていると、白石と杉元はその男を知っているようで、驚いた顔をしていた。

杉元「お前はたしか…鶴見中尉のとこの…！なんで牛山と！」

…

江渡貝邸にて。

尾形「偽物は、恐らくこの六体の剥製を利用して作られた。剥製屋の坊やが死んだのは確認した。

月島軍曹は屈強な兵士だ、坑道から奴の死体が出なければ、六体の偽物が出回ってしまうことを想定しなければなるまい」

土方「偽物か本物か、この忘れ物がどっちなのか、判別する方法を探さねば」

貴『…！』

久しぶりに見る土方の姿に、ミツキはもはや抱きつきたい衝動に駆られる。

杉元「爺さんあんた…どこかで会ったかな？」

白石「…いや！会ったことあるわけがねぇ！こいつは土方歳三だぞ！？」

杉元「土方…」

土方は猫をミツキに手渡した後、白石に目を向ける。

永倉「…刺青人皮を持っているなら我々が買い取ろう」

久しぶりに見る面々に、ミツキは心底安心感を覚える。