【金カム】坊主頭に興味が湧いて (ページ32)

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31話　姫！？ページ32

白石「急げ急げッ」

貴『…あ！！仲沢さん、若山さんの長ドス返します。勝手に使ってしまいすみません』

仲沢「…親分の長ドス……」

ミツキが長ドスを仲沢に渡すと、彼はぎゅっと大事そうに腕の中にそれを抱きしめた。

キロ「先に行け杉元ッ」

杉元「立てッ脱出するぞ！」

白石「行くぞミツキちゃん！」

キロランケの言葉を皮切りに、ミツキ達は玄関の戸を開けて次々と外へ逃げ出す。

そんな中、見慣れない特殊な乗り物が前方から走ってくるのが見えた。

若山「姫〜〜ッ！！」

仲沢「おやぶぅん！？」

「…(姫！？)」

キロ「赤毛が出てくるぞ！！」

杉元「伏せろキロランケ！！」

杉元の咄嗟の指示通りキロランケは伏せ、若山は機関銃を赤毛に乱発した。

若山「チッ…弾切れか」

貴『あと一頭来てます！！』

杉元「乗れッ！！」

…

暫く牧場に向かって車を走らせるが、一向に赤毛は諦めて去る気配もなくミツキ達を追い続けてくる。

白石「最後の赤毛が追ってくるぞ！！」

アシ「ヒグマの足はもっと速い。毒が効いて走れなくなってきたんだ」

ガ … タンッ

「！！」

若山「姫ッ」

仲沢「親分ッ」

落ちた長ドスを拾おうと手を伸ばした仲沢はそのまま赤毛のそばへと転げ落ちてしまい、それを助けるべく若山も車から飛び降りていった。

それからミツキ達は車から若山ひとりで赤毛を斃し、仲沢と手を握り合い息絶える最期を見届けた。

貴『…私が…長ドスを渡さなかったら…』

白石「…ミツキちゃん…」

空と辺りを美しく照らす朝焼けの中、考えても仕方のないことを、ミツキはぽつりと口に出す。

杉元「………皮剥いでくる」

しんと静まり返った空気に無慈悲な杉元の一言が、なんとも言えない気持ちにさせた。

その後ダンの牧場に戻り、ダンから人間の顔の皮膚で作られた本を見せられ、夕張で奇妙な入れ墨を見たという噂も一緒に聞き一同は夕張へと向かうことになった。

…

ミツキ達はその後海豹の衣服を返しにコタンへ戻った。
美味しいサクラマスやフキがよくとれるせいか、春らしさを一層実感させられる。

貴『でっかいサクラマスとれましたね〜！』

キロ「そうだな…っておい峰山、そんなに走ると転ぶぞ」

白石「ミツキちゃん見て見て〜」

ミツキ達が親子のようなやり取りをしながらコタンへ歩いて向かっていると、ふと先を歩いていた白石がこちらにクルッと振り返る。

貴『ブ…ッその黒い跡は…？』

白石「フキ食べた！はい、ミツキちゃんも食べな〜」