【金カム】坊主頭に興味が湧いて (ページ24)

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23話　髭ページ24

白石「ぐえっっ」

白石を取り押さえる杉元に加勢し、白石の背中の上にミツキが重しとして座った。

白石「杉元！お前は金が必要だから北海道に来たんだろ？いくら必要なんだ！金塊二万貫じゃないだろ！
命なんか賭けなくても、稼ぐ方法が目の前にあるじゃねぇか！」

杉元「必要な額の金が手に入ったから一抜けた、なんてそんなこと…俺があの子に言うとでも思ってんのか！」

気迫が凄い…。
なんとも真剣なその表情と声色に、緊張が体を突き抜けていく。

そんな中、キロランケを乗せた馬が走る時が来た。

白石「六番頼んだぞ！負けたら桜鍋にしてやるー！六番いけー！」

貴『懲りないなぁ…』

結局、キロランケの三番が無事勝つことになり、辺りは泣き叫ぶ人等の阿鼻叫喚で溢れていた。

貴『！キロランケさん、さすがですね！…って、え…？ひ…ヒゲ…」

キロ「言っただろ、俺が勝つって。とにかく、さっさとずらかるぜ。今頃大損したヤクザの親分が俺を探してる」

杉元「うわっ！もうヒゲ生えてる…」

杉元とミツキはキロランケの無精髭を、ジョリジョリと触って楽しむ。

貴『ジョリジョリだぁ…』

キロ「白石は？」

杉元「あそこでぶっ壊れてる」

そう言って杉元が指差した先には、狂ったのか歌いながら舞う白石がいた。

アシ「置いていこう。どうせ追ってくるだろう」

貴『…はぁ…まったく……先に行っていてください。後で追いつかせますから』

ミツキはそれだけ言って、葉っぱにまみれる白石に駆け寄った。

白石「…狐に化かされた……」

貴『何寝ぼけたこと言ってるんですか。早く行かないと置いてかれますよ』

白石「くうぅ……！ミツキちゃぁん…っ！」

泣きつく白石を引っ張って立たせた後、なんとか急いで向かいアシㇼパ達に追いついた。

…

その後、アザラシを仕留め調理して食べたり、囚人が日高にいる"ダン"と言う名のアメリカ人に会うという噂を白石から聞いたりしながら、ミツキ達はアイヌのコタンへと泊まりに向かった。

アシ「この人が私の大叔母だ。見てほら、トッカリが獲れたんだ！」

杉元「肉と皮ですよお婆ちゃん」

貴『…え？なんで泣いて…』

土産を見た大叔母は突然ポロポロと涙を流し始めてしまい、一度話を詳しく聞くことに。

…

そうして聞いたところによると、アザラシの皮を何枚も使った質の良い衣服を、娘の夫にたったの三十円で売られ逃げられてしまったということらしい。

貴『うわぁ…』

白石「ひどい…許せない…」