【金カム】坊主頭に興味が湧いて (ページ13)

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12話　役立たずページ13

杉元「鶴見中尉の手下か…？」

アシ「まて、杉元」

キロ「…鶴見中尉……俺がいた小隊の中尉は別の人間だ。それに俺は除隊して以来、誰とも関わりはない」

緊張が走る空気の中、キロランケはそれをなんとも思っていないように答える。

杉元「…確かに第七師団は二万人からいる。鶴見中尉の隊とは限らんか…」

キロ「名前と顔の傷でピンときた。こんなところで戦争の英雄に出会うとはな」

キロランケにそう言われた杉元は、ぼそりと何かを呟いたが、声が小さく何を言っているのか聞き取れなかった。

キロ「アシㇼパはどうしてこの人達と一緒にいるんだ？」

アシㇼパはキロランケからそう聞かれ、「うーん…」と少し考え、杉元を見た。

アシ「…相棒だ。そして、こっちの白石と峰山は役立たずだ」

白石「んふ！」

貴『私も？！』

白石「よっ！役立たず！」

貴『黙ってください……』

ミツキは動揺のあまりその場から立ち上がってしまうが、すぐに恥ずかしそうに座り込んだ。

キロ「…そうか。お前がそう言うんなら信用出来るんだろう。聞け、アシㇼパ。お前に伝えることがあるのだ」

アシ「？」

キロ「俺の村に年老いた和人が来た。その老人はある女性を探していると言った」

"小蝶辺明日子"

アシ「…！どうしてその名前を…私の和名だ！その名前を知っているのは、死んだ母と父だけなのに…！」

貴『……』

その名前は以前、土方さんの口から一度だけ聞いたことがあったのをぼんやりと覚えている。
道理であのニシン漁場で会った時、この子に興味があるように見えたわけだ。

キロ「網走監獄で起きたこと、俺は既に知っていた。のっぺらぼうは自分の外の仲間に囚人が接触できるヒントを与えていた。
小樽にいる小蝶辺明日子。のっぺらぼうはアシㇼパに金塊を託そうとしていたのだ」

白石「待て！そりゃあ…つまり…！」

キロ「のっぺらぼうは……アシㇼパの父親だ」

アシ「…っ！」

貴『……！』

変だな…。初めて知ることが多くはないか？
彼女を探していたことも、アシㇼパの父親のことも…土方さんから聞かされていない話…

何とも言えないモヤモヤが、ミツキの心を曇らせる。

アシ「うそだ…アチャが…アイヌを殺して金塊を奪うなんて…そんなの……」

杉元「なんであんたはアシㇼパさんの和名を知っている？」

キロ「俺はアシㇼパの父と一緒に日本へ来た」

重苦しい空気に、辺りまでもが静まり返る。