【鬼滅の刃】姉ちゃんは俺が守る。弐 (ページ42)

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捌拾伍話「鬼の切符」ページ42

夢主side

……何だろう、煉獄さんから視線を感じる…。

煉獄さんと炭治郎君の会話になっていない会話を微笑ましい目で眺めつつ、私は善逸君と伊之助君に相槌を打ちながらも窓の外の流れる景色をぼんやりと眺めていた。
すると、いつの間にか煉獄さんの視線が冗談抜きでザクザクと刺さる様になった。

因みにねっとりと刺さる萌香ちゃんの視線は最早無視する事にした。

うぅ～ん…私何かしたかしら……いや、やった覚えは無いのだけれど自覚は多いにあるけどもね…。

何となく居心地の悪さを覚えながら、二人の会話に相槌を打った。

『？』

ふと、此方に向かってユラリと歩いてくる人を視界の端に捉えた。
その人の格好は、所謂"車掌さん"と呼ばれる人達の物だった。

俯いてるからか顔は半分位しか伺えない。
だけど、頬はこけ顔は青白く明らかに体調が良くない。
顔にも精気が無く、まるで幽鬼の様だ。

普通に考えれば、列車に酔ったか風邪をひいたかと傍から見れば思うだろう。

──何だろう、何か引っ掛かる……。

車「切符、拝見します……」

…鬼の、匂いだ。

鼻にツンと来る様な、嫌な匂い。
まさか、こんな堂々と来るとは……。

ギシ、と背中に隠してあった刀を平静を装って握り込んだ。
ピキリと僅かに寄った青筋に気付いたのか、善逸君が「ﾋｯ」と短い悲鳴を上げた。
…でも、周りには一般人も居る……迂闊に手を出せない…。

『…ん？』

…ちょっと待って、確かに車掌さんからはほんのりと鬼の匂いがするけど……"この人じゃない"…？

と、いうことは……。

『あ、の…ちょっと待って下さい！
切符を出す前に…』

車「…？何でしょう……」

もしもの時の為に常備していた手拭いを引っ張り出し、滴り落ちそうな汗を拭ってあげた。

車「……え」

『…大丈夫ですか？顔も青白いですし…』

車「あ、ど、うも……」

挙動不審な動きを不思議に思いながらも、返された手拭いを懐にしまい代わりに切符を差し出した。
だけど、不思議な事に車掌さんは鋏？を握り締めたまま動こうとしない。
それどころか、プルプルと震え始めた。

『…大丈夫ですか？少し休んだ方が…｜車『…ッ！！』わっ』

刹那、ヤケになったように車掌さんが私の切符を勢いよく切った。

視界を、涙が舞った。

パチン。

◇◇◇
車掌さんは、原作で出てきたお嫁さんと娘さんを亡くした彼です。

お嫁さんと夢主を重ねたら良いなと…(どうぞ石を投げて下さい)

そんな戯言です。