【鬼滅の刃】姉ちゃんは俺が守る。弐 (ページ26)

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漆拾話「遭遇2」ページ26

夢主side

『こ、ま……？』

それはもう、人として扱って無いんじゃ……。

そう思ったけど、萌香ちゃんはさも当たり前の様な顔をしていた。
─それどころか、私に向けて異常と言わんばかりの視線を向けてきた。
その桃色の瞳には、ギラギラと濃い欲望が燃えている。

萌「だってしのぶちゃん、自分可哀想アピールしててうざいじゃん？
今にも噂流してやりたかったんだけど、そういう訳にもいかないしね〜。
だから、駒にしてあげたの！それ位しか利用価値無いしねぇ？」

『……ッ』

萌「ほよ？」

ギリッと歯を噛み締め、ザッと力強く一歩踏み出した。
……それでも、"あぴーる"という言葉の意味は分からなかったが。

『私を侮辱するのは構わない。
…けど、しのぶちゃんの生き様を否定するのはやめて。
彼女は物じゃな……ッ』

言い切る前に、強く頬を叩かれた。
乾いた音が響く。
けど、私の身体はほとんど揺らぐ事が無かった。

それにムカついたのか、舌打ちと共にドンッと肩を押される。

萌「なぁにその顔？
もしかして、自分が悪くないとでも思ってるのぉ？
キャハハ！バッカみたい！！」

ｻﾞｸｯ

『い"ッ……！』

さも愉快そうに笑いながら、足に刀を刺される。
唖然としてて反応が遅れてしまった。
しかも刺された箇所をグリグリと刀で回されるから、ビリビリと電流の様な痛むが走る。

流石に殴られたりするのはもう慣れてしまったが、こんな風に深く刺されるのはあまり慣れない。
たまたま出くわしたのが私の屋敷だった為か、周りにあまり人はいない。
それを狙っての行動だろう。

『ッう……ッ』

ズズ、とまるでいたぶる様にゆっくりと刀を抜かれた。
ぽたぽたと血が滴る。
は、と痛みにより僅かに荒くなった呼吸を整える。

また何処か刺されるのかなぁ…傷が残っちゃうなぁ……。

と、何処かぼんやりとした思考でそう思った。

刹那、私の肩に何かが勢いよく飛来した。

萌「ふぇっ？！」

その正体は、私の鎹鷲の夜見だった。

『夜見…？』

夜「…ご主人、痛ガッテル。
見テ分カラナイノカ？」

萌「ッ…！何よご主人様に似て生意気な鳥野郎ねぇ！
その羽根毟ってや…」

『やめて』

◇◇◇
大正コソコソ噂話

夢主の屋敷は蝶屋敷と程近い森の中にあります。

蝶屋敷の敷地を侵さない端っこに面しているので、所謂お隣さんの様な物です。

愛柱が来る前は両方の屋敷を経由して仲良く過ごしていました。