伍拾弐話「紫蝶」 ページ5
夢主side
声のした方に目を向けると、そこには笑顔だが心做しか怒った表情の胡蝶さん。
……見つかっちゃったか。
胡「貴方は蝶屋敷を出禁にされている筈ですが?
あら、もしかして日本語が分からないのでしょうか?」
つらつらと煽り言葉を述べていく胡蝶さんだけど、言葉の節々に辛そうな雰囲気が見て取れる。
……ごめんなさい、胡蝶さん。
貴方にそんな言葉を言わせてしまって。
全部、全部私が悪いの。
だから、そんな辛そうな顔しないでよ。
貴方の笑顔が、私は好きなのに。
胸の刺すような痛みを無視しつつ、ユルリと眉を下げながら笑った。
『…ごめんなさい、
……分からないんだ。
炭治郎君達、またね』
胡「…!」
唖然とした表情をする胡蝶さんを尻目に、仲良く並ぶ三人の前にしゃがみ込み一人づつ頭を撫ぜた。
皆、ふわふわの髪だった。
炭「あっ金月さん…!」
切なそうな表情をしている三人(といっても伊之助君は猪頭だけど)に向けてヒラリと手を振り、胡蝶さんを一瞥し地面を蹴った。
ふわりと、己の兎模様の羽織がはためいた。
◇◇◇
しのぶside
──炭治郎君が恐る恐る声をかけてくれるまで、私はその場から動くことが出来なかった。
……分からないんだ。
金月さんのその言葉が、今も頭の中で反響している。
…まるで、責め立てる様に。
普通に考えれば、その言葉は私のふざけた問いに答える様な物だろう。
だけど、私には全く別の意味に聞こえていた。
──優しく接してくれた萌香さんを裏切った、貴方は最低な人ですね。
あの日、そう言った時の金月さんの絶望した表情は今でも私の頭の中にこびり付いている。
どうしても私はあの時の表情が、自分の本性を知られた絶望の顔だとは思えなかった。
萌香さんを、柱達を裏切った最低な人なのに。
憎い筈なのに。
嫌いな筈なのに。
朝起きて真っ先に浮かぶのは、その顔だ。
信じた者に裏切られた様な、あの表情。
何をしてようが、いつも頭の奥底にあの表情がこびり付いている。
金月さんの噂を聞く度に、金月さんを罵る度にすり減るその感情を私は知らない。
胡「ッ…!」
ガリ、と自室の壁を引っ掻いた。
…私は、どうすればいいの?姉さん……。
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きーねちゃん(プロフ) - みかんといちごさん» テンキュー!はいごみ収集車にぶちこむぜ☆オルァ! (2020年8月8日 0時) (レス) id: a598922371 (このIDを非表示/違反報告)
みかんといちご - きーねちゃんさん» はーい!ニクマン\(^-^ )ブンッ (2020年8月8日 0時) (レス) id: 085b083a26 (このIDを非表示/違反報告)
ハルサ(プロフ) - kiki11241さん» なる……予定です!(おい)すいません頑張ります! (2020年8月5日 20時) (レス) id: d6c0176894 (このIDを非表示/違反報告)
kiki11241(プロフ) - あれ本当に杏寿郎オチかな? (2020年8月5日 19時) (レス) id: 3664f0360e (このIDを非表示/違反報告)
きーねちゃん(プロフ) - みかんといちごさん» へいパース!僕今ならゴムの手袋を五万枚重ねてるんで大丈夫でーす! (2020年8月4日 22時) (レス) id: a598922371 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハルサ | 作成日時:2020年7月9日 18時