夜の黒眼 ページ15
ユウside
ユ「……ん……ぅ?」
ちょっと埃臭い木の壁……ここは…?
ユ「う、っ」
ゆっくりと起き上がるが、ズキンと後頭部に走った痛みに思わずその箇所を抑えて蹲る。
うぅ、いたた……。
ユ「ここは……小屋?」
あそこの薄暗い倉庫じゃない、けどやっぱり薄暗い小屋の中。
立て付けの悪そうな窓から月光が射し込んでる……今は夜…?
そこで、ハッとする。
そうだ、彼岸さん……!
私と一緒にいた筈……!でも、あの時……ペンダントが壊された瞬間衝撃波みたいなのが見えて……私は後頭部を殴打して気を失った筈……。
ユ「……っ」
いつも肌身離さず持っていたペンダントが無い事に、思わず不安感が募る。
だけど、もうあの時の私では無い。
ぐ、と歯を噛み締める。
ユ「彼岸さん、何処ですか…?いたら返事して下さい!」
う、光源が月光だけだから良く見えない……全く不便だよ鳥目って…。
ユ「……?」
ふと、月光が奥に射し込む。
射し込んだ部分に何かの盛り上がりが見えて、思わず目を凝らす。
そして──目を見開いた。
ユ「赤い動物……?」
月光に照らされるようにして、動物のような毛玉のような良く分からない物体がそこに寝そべっていた。
全体的にモサモサしていて、僅かだけど上下してるから少なくとも生物ではあるようだ。
ツンと香る血の匂い。
どうやら怪我をしているらしい。
ユ「け、怪我してるの……?」
思わず、物体に問い掛ける。
ピクリ、物体が揺れる。
刹那──私は床に叩き付けられていた。
ユ「グッ……!!」
身体中に鈍い衝撃が走る。
胸が圧迫され、掠れた息が口から漏れ出る。
──ノソリ、月光を背にして影が身体を覆う。
─獣の、唸り声がする。
毛玉かと思ってたそれは、大きな大きな赤い狐だった。
牙を見せて、低く唸り声を上げて。
前の世界でいう車みたいな大きさをした、物凄く大きな狐。
愕然としている間に、獣が私の両腕を踏んで抑える。
ユ「う……っ!」
垂直に体重をかけられ、激痛が走る。
前足で私の両腕を固定して、覆い被さるように私を見つめていた。
う、動けない……!
『グルルルル……』
ユ「っ、あぐ……っ!」
痛、い……!
ギシ、と腕から嫌な音が鳴る。
──ふと、気付いた。
獣の眼は白目も何も無い真っ暗な感じだけど……私はどこか、光の灯らないその眼に見覚えがあったのだ。
ユ「……彼岸さん?」
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ハルサ(プロフ) - 碓氷時雨さん» (・ω・(ヾ)YES!(ストーブの前で書き書き) (2020年11月4日 21時) (レス) id: 29975453d5 (このIDを非表示/違反報告)
碓氷時雨(プロフ) - うっす!(`・ω・´)ゝ(布団の中待機なう) (2020年11月4日 2時) (レス) id: 49e22a6e0b (このIDを非表示/違反報告)
ハルサ(プロフ) - 碓氷時雨さん» ありがとうございます!ですが最近冷え込んで来たので、暖めるのを忘れずに……!ヾ(・ω・`;)ノぁゎゎ (2020年11月3日 21時) (レス) id: 29975453d5 (このIDを非表示/違反報告)
碓氷時雨(プロフ) - マジっすか!全裸待機してますね!)))) (2020年11月3日 19時) (レス) id: 49e22a6e0b (このIDを非表示/違反報告)
ハルサ(プロフ) - 碓氷時雨さん» ( °ω° ;)=( ;°ω° )イエイエイエ!!(高速首振り)全然大丈夫なんですが、なんかすいませんこちらこそ……とりあえず、近いうちに制作予定なのでよろしくお願いします(´・ω・`) (2020年11月3日 15時) (レス) id: 29975453d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハルサ | 作成日時:2020年10月18日 12時