62. ページ12
「……遅くない？」
「何が？」
時計を見上げて呟いた松本。
櫻井は顔を上げずに返事をする。
「和」
「あー確かに。もう戻って来てもいい頃だよね」
出て行ってから一時間経っている。
そんなに時間がかかるとも思えないのだが。
「一人で行かせたのまずかったかな」
松本が立ち上がって上着を手に取ろうとする。
「どこ行くの？」
「隊長のところ。いなかったら探しに行く」
「待って。俺も行く」
櫻井も上着を手に取って、残った上着を見て首を傾げた。
「あれ？ これニノのじゃない？」
「え？ 和は上着着て行ったはずだけど」
「いや……でもこれニノのだよ。大野くんのじゃない。ポケットに通信機が入ってる」
松本が顔をしかめて、上着のポケットに手を突っ込む。
「……確かに、和のだな」
思案顔になる二人。
「報告に行って、帰ってこない。連絡が取れない。しかも一人」
「こりゃまずいかもしれないな」
この間の出来事が起こったばかりだ。
「翔さん、大野さんと連絡取れるか試してみて。とりあえず隊長のところに行こう」
「了解。万一のことを考えて急ごう」
通信機を取り出す櫻井。
そのまま歩きながら、イヤホンを挿した。
「こちら雹隊十五班櫻井。班長、聞こえますか」
返事がない。
松本の通信機から櫻井の声が流れ、苦笑しながら松本は通信機の電源を切った。
この通信機は、誰でも聞ける全体への呼びかけをする公開回路と、班員同士が利用する専用回路で連絡を取ることができる。
今は公開回路だ。
『こちら雹隊本部』
「あ、本部。大野への呼び出しをお願いできませんか」
本部からなら個人にも直接連絡を取ることができる。
『大野？ また何か大野がやったのか』
『雹隊十五班大野。本部は余計なこと言うな』
不機嫌そうな大野の声が聞こえた。
「あ、大野くん。専用回路にお願い」
『了解した』
ぷつっと音声が切れたため、櫻井も回路の切り替えを行う。
「あ、あ。聞こえる？」
『聞こえる。どうした？』
松本も回路を切り替えて、通信機の電源を入れた。
「今どこにいる？」
『病院。廊下に出たところ』
「雅紀もいる？」
『いるよ。さっきまで一緒にいた』
「ならそのまま一緒にいてほしい。ニノが帰ってこない」
『は？』
隊長の部屋のドアを叩いた松本。
「十五班の松本です。お時間よろしいでしょうか」
「あぁ、大丈夫だ」
返事を聞いて、ドアを開ける。
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芙咲子(プロフ) - 合格おめでとうございます♪うちの娘と同い年ですね（笑）ホント決まって良かった！おめでとうございます！ (2020年3月9日 16時) (
レス) id: 588e77ad1d (このIDを非表示/違反報告)
翠霞(プロフ) - 西野えみぃ☆さん» ありがとうございます！ゆっくり更新していくので待っていてください。笑 (2020年3月9日 13時) (レス) id: 89401d456b (このIDを非表示/違反報告)
西野えみぃ☆(プロフ) - 合格おめでとうございます！！同じ年だと言うことに驚きました！！小説の更新気長に心待ちにしています！！受験おつかれ様！！ (2020年3月9日 1時) (レス) id: 94d9a88e4f (このIDを非表示/違反報告)
翠霞(プロフ) - 芙咲子さん» ありがとうございます！世界観が好きという言葉、とても嬉しいです。のんびりゆっくりにはなりますが、これからも書き続けたいと思います。これからもよろしくお願いします。 (2019年12月24日 13時) (レス) id: 89401d456b (このIDを非表示/違反報告)
翠霞(プロフ) - orangeさん» ありがとうございます！いえいえ、コメントをいただけるだけでもとても嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (2019年12月24日 13時) (レス) id: 89401d456b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2019年1月7日 16時
