雨の日と流せなかった涙と湯船。FK

10(K side) ページ10

少し湯気で霞む藤ヶ谷が、大きな手で俺の涙を拭くように頬を包み込んだ。







藤「北山？俺、お前が好き。気付いてないかもしんないけど、俺ずーっと前からお前が好きだった。





だから俺、もし明日が雨でも、お前の傘になるよ。絶対もう、冷たくて、悲しい思いなんてさせない。」








まっすぐ真剣に話した藤ヶ谷の俺の頬にある手に自分の手を添える。








「もう、わざと濡れなくていいから。俺の気持ちが分からないなら、ちゃんと言葉で伝えるから







やり直そ？すれ違ったあの日の雨はもう冷たくなんかないよ。いまこうやって、お前が温めてくれたから。







もし明日が雨なら、晴れたら何するか考えよう？その日を迎えた時、隣にいるのが藤ヶ谷なら、雨の日も悪くない。」







そう。






もし、明日が雨の日でも、







こいつの隣なら関係ない。








晴れたら空を見て太陽の日差しを浴びて、夜は満天の星空を眺める。







そんなことがこいつの隣でできるなら、







もう雨の日なんて嫌いだとか
子供じみたこと言わない。






俺の気持ちを聞いた藤ヶ谷と、藤ヶ谷の気持ちに心が温まった俺は







なんでこんなとこで告白してんだってしばらくお互い向かい合って笑った。








バスルームに響く2人の笑い声も、







きっと外で降る雨音がかき消すだろう。







でもきっと、雨の日にやっと音を鳴らしてあわさった心は








どんな雨音もかき消すことは出来ない。



end

あとがき→←9(K side)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す