3(K side) ページ3
今、夢であろうこの場所は思いを心にしまったあの日から、少したった頃の風景。
この日も雨だった……
あの日
避けるようになってから、開く距離にまだ胸が痛んでいた頃。
今日も顔は合わせるものの、決定的な何かは起こらないこの微妙な二人の距離。
マネージャーが車を回してくるからと、2人で待っていた時にも雨が降っていた。
なかなか来ないマネージャー、2人になるのは避けたい俺。
少し離れた所にある自販機で、コーヒーを買うことを理由に藤ヶ谷から離れた。
あの時まだ俺は視界に藤ヶ谷を入れておきたいくらいの未練があって、ぼーっと自販機から藤ヶ谷を見つめていた。
次の瞬間。
なんの迷いもなく、屋根から出て打ち付ける雨の中に立つ藤ヶ谷。
抵抗もせずにただ、ひたらすらに空から降る雨を見上げ打たれていた。
本当だったら、すぐに駆け寄って何やってんだ馬鹿って声をかけ屋根の中に入れるのが普通。
でも、その時の俺は見とれていた。
降り注ぐ雨が、藤ヶ谷の体をしとしとと濡らし、体全身で泣いてるような……とても綺麗な光景。
何、泣いてんだよ。泣きたいのはこっちだ。
雨なんて……大嫌いだ。
聞きたかったお前の言葉も、知らされた男と女の距離も、未だに吐き出せないお前への思いも、
ひしひしと伝わるこの痛みは、雨が徐々に地面や木々に染み込むのと似てる。
結局その日は、近くにいないと思った俺に藤ヶ谷から
(タクシーで帰る。)
の一言のメールが届いて、車を回してきたマネージャーは不思議そうに俺だけを乗せて車を走らせた。
打ち付ける雨の水滴がつく車内の窓越しに、歪む視界は俺の涙だったのかもしれない。
横「……つ。……みーっちゃん!
今日は、逆に雨を使った撮影に変更。俺達撮り終わって、最後のペアみっちゃんだよ?
先帰るし、他のメンバーも次の仕事のやつは移動だけど大丈夫?マネに体調悪いって伝える?」
目が覚める瞬間の焦点の合わない視界は、あの時溜めた涙の視界に似ている。
ようやくはっきり焦点があって、横尾さんの顔を捉える。
マネへの報告と、撮影の順番への返事をするように、大丈夫と手を挙げて立ち上がる。
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りりー(プロフ) - せりさん» コメントありがとうございます!雨の作品に気づいてもらえると、私の作品を長く見ていただいてるなあと感じ嬉しくなっちゃいました(^^)また遊びに来てください! (2017年1月20日 8時) (レス) id: c45c47348e (このIDを非表示/違反報告)
りりー(プロフ) - 1632さん» お久しぶりです!コメ返ができてなかったみたいですいません(´・_・`)お互いを想い合うすれ違いは藤北にとって王道だと私も思います(笑)また遊びに来てください! (2017年1月20日 8時) (レス) id: c45c47348e (このIDを非表示/違反報告)
りりー(プロフ) - puuさん» コメントありがとうございます!私この作品のコメかえすの忘れてたみたいで(´・_・`)すいません。。湯船の告白の後、二人はどうなったか…もし私の語彙力に限界がなければまったり続き書かせてください☆彡 (2017年1月20日 8時) (レス) id: c45c47348e (このIDを非表示/違反報告)
せり - お久しぶりです!また雨作品ですね!ひとつのテーマでたくさんのお話をかけてしまうリリーさんはほんとに素晴らしいです!最後、スッキリ終わってよかったです(*´ω`*)また楽しみにしてますね! (2016年12月13日 13時) (レス) id: 62095400eb (このIDを非表示/違反報告)
1632(プロフ) - せつなすぎますーけどハッピーエンド(TT)よかったです!なんか藤北ってお互い考えすぎてすれ違ってそうですよね(笑)本当胸がぎゅーってなりました!これからも楽しみにしてます! (2016年12月10日 1時) (レス) id: 9b70ab26e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りりー | 作成日時:2016年12月7日 8時