ドSなのは変わらない。【アミィ・キリヲ】

問題児と愛妻家のウワサ ページ5

結婚式も無事終わり、1週間が経った。私の務める問題児クラスには必ず攻撃的な悪魔がいるという、奇跡としか言い様がないほどに毎年1人2人現れる。
｢おはようございまー…｣
刃物が壁に刺さる音が聞こえた。その刃物達は私の顔スレスレに通り過ぎて。
｢…出席とりますね｣
｢なんか反応はねぇのかよっ！！｣
先週は一緒になって騒いでいたというのに興奮が冷めれば元通りか。


｢慣れたものです｣
｢はぁ？｣
｢ギルくん、この壁の修理費…誰が払うとお思いで？｣
｢…そりゃあ、理事だろ｣
｢いいえ、このクラスの責任は私にある為、私が"自腹"で払わなければいけないのですよ｣
｢…すんません｣
｢まぁ、こんな小さな傷くらい直せますが｣
手から光が溢れ、それを壁に押し付ければ傷は消えていた。問題児その1であるギルは驚いているようだ。


｢さすがに大きくなってしまうと私では直せないので、無闇に壊すのはやめて欲しいです｣
｢…おう｣
気張ってはいるが、ギルは実際、素直でいい子なのだ。少し叱られればきちっとする。


ほかは
｢Aせんせぇの膝の上で寝てもいいですかぁ？｣
｢ダメです｣
だの
｢先生の旦那になりたいですっ！！｣
｢絶対ダメ、有り得ない｣
だの冗談半分でそんなことを言う生徒ばかり。おじいちゃんはなんで私に問題児クラスを任せたんだ？

｢A｣
｢…か、カルエゴ先生｣
｢今日はどのように授業をしているのか見させてもらう｣
見に来るのはカルエゴ先生だけで、でも威圧感が物凄くて、いつも騒がしい生徒も今日だけは静かだった。


＿＿＿


｢明日は3年のクラスを見に行くぞ｣
｢えっ、私もですか｣
｢当然だ、多種多様なクラスを見ておかなければお前自身も成長出来んだろう｣
｢…はい｣
ちなみに3年は先輩が受け持つクラスがある。近くのクラスのウワサでは、授業は面白く、私の事をよく話す愛妻家で評判。だけど怒らせると恐ろしい罰が待っているとか。

｢みんなにどんな感じで話しているのか…聞いてやろうじゃないの｣
明日は新任として彼のクラスに入る。バレないために地味目の変装をしてね。
｢…言っておくがこれもれっきとした仕事だからな、忘れるなよ｣
｢分かりました｣


カルエゴ先生が私のクラスを出た途端、｢俺も行く！｣｢先生連れてって！！｣という言葉が聞こえて、即座に断ればブーイングが。


騒がしいクラスだ、全く。

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