【番外編(バレンタイン)】 ページ32
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「五条にチョコ、作ってあげたら? いつも仕事お疲れ様って意味込めてさ」
バレンタインの一週間前、家入呪術師からそんなことを言われた。
……おそらく五条呪術師に買収されたのだと思う。家入呪術師は善意で人の恋路を支えてあげようとする程優しくはないし、終始ずっとニヤニヤしていたし。
ロクなことを考えていないということだけ察せた。
成り行きで五条呪術師と結婚して以降、私は一度も彼にチョコをあげたことはなかった。
理由は説明せずともわかるだろうが、私の壊滅的な料理センスにある。いや、これはもう料理センス云々の話ではないのかもしれない。
火を扱えば火事が起き、水を扱えばそこら中びしょびしょ、刃物を扱えばまな板の上は地獄絵図。呪いにでもかかっているかの如く全てが失敗に終わる。料理だけでなく、掃除や洗濯などの家事全般は特に。
今は家政婦さんを雇っているから問題ないが、それ以前の生活は酷いものだった。五条呪術師と結婚して良かったと心底思う、ありがとう五条呪術師。
とまあ、そういった理由もあって私が五条呪術師に手作りチョコをあげるなどということは今の今まで一度も無かったわけで。
というよりも、あげる必要はないと考えていた。
自分で言うのもなんだが、五条呪術師は私のことが大好きだ。これは事実なのでハッキリ言わせてもらおう。
なのでもうバレンタインなんて私がいるだけで満足だろうと勝手に思っていた
しかし、彼はそれでも私からのチョコが欲しいらしい。贅沢者め。
ということで用意してみた手作りチョコレート。
美々子さんと菜々子さんの指導のもと、頑張りました。出来上がるまでの道のりは険しいものだったがなんとか作り上げた。
料理をするだけで命がけとは、本当に呪いにでもかかっているのではないのだろうか。
そんな馬鹿馬鹿しいことを考えながら職員室の扉を軽くノックしてから開く。
しかし、それと同時にむわりと襲ってくる甘ったるい匂い。思わず顔を顰めた。
「いやー、マジで困っちゃうよねぇ。こんなに貰っても消費しきれないって」
奥から我が夫の自慢気な声が聞こえてくる。夏油呪術師と話しているようだった。
咄嗟に扉を閉め、外から聞き耳を立てる。こんな風にコソコソする必要はないのだが、なんとなく。
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ガシヤマ(プロフ) - れーとさん» イベントに参加させていただきありがとうございます! 自慢の作品なので神作と言ってもらえてとても嬉しいです。気が向いたら他の作品も読んでみてくださいね。 (1月31日 18時) (レス) id: d005014dc4 (このIDを非表示/違反報告)
れーと - 初コメ失礼します。どうしてこんな神作がいかにもふざけている名前のイベントに参加してくれたのか分からなかったです。イベント参加ありがとうございますorz。(絵がおじょうずなっこって) (1月31日 17時) (レス) @page34 id: 52d6184189 (このIDを非表示/違反報告)
ガシヤマ - 白うささん» お読みいただきありがとうございます! またまだ未熟なところもありますが、私の作品をもっと色んな知ってもらえるようにがんばっていきたいと思います! (1月5日 20時) (レス) id: 5392177912 (このIDを非表示/違反報告)
白うさ - あ、あれ?最後まで読んだら目から鼻水が((初コメ失礼します!!最高な作品でした!!ありがとうございます!!(?) (1月5日 20時) (レス) @page19 id: a68f5e51e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ガシヤマ | 作成日時:2024年1月1日 19時