鬼狩り19 ページ19
〜貴方サイド〜
鎹鴉の言う通り北東へ向かって歩いていると、やがて小さな町ヘと出た。
かつて住んでいた、雲取山近くの町と似たような賑わいがある。
商人、大工、船乗り、農家と、さまざまな職種の人たちが活発に行き来し、子供たちが走り回る。
そこはどこにでもある、普通の町のように見えた。
ここが……鎹鴉の言っていた、“訪れる人が消える町”なのだろうか? それとも場所を間違えた?
貴方「でも、言われた通り北東を進んでここに辿り着いたわけだしなぁ……」
そんなことを呟きながら、町を散策する。
それにこの町からは………微かに、本当に微かにだけど、鬼の気配がするのだ。
とりあえず持ち前の聴力を活かして、町中の会話という会話を拾い上げてみた。
貴方「うーん……」
今の所、有益な情報は集まってこない……。
これじゃあ敵となる鬼の手掛かりは掴めそうもないと、落胆した時だった。
____「ねえ、さっきの人見た? 詰襟の……」
明らかに私のことを言っている、誰かの声が聞こえた。
自分が何を言われるのか気になり、思わずそちらに意識を集中させる。
____「見た見た。明らかにこの町の人じゃなかったわね」
____「誰か教えてあげなよ……この町には滞在しない方がいいって」
____「つい昨日来てた旅人さんも、今朝荷物と着替えの服だけ残して消えたって話だしねぇ」
これは……この会話は!!
私はぐるりと周囲を見回し、今の会話がされた場所を探った。
そこへ向かって一目散に走っていくと、八百屋の前で三人組の女性が井戸端会議をするようにお喋りしているところだった。
私が突然駆け寄ってきたものだから、三人ともあからさまにびっくりした様子でこちらを見た。
貴方「あのっ……!」
女1「は、はい? 何かしら」
貴方「私、この町で起きている異変について調べているんですけど……
訪れた人が消えてるとか……。それについて知っていることがあれば教えてほしくて」
三人の女性は一度顔を見合わせ、そしてまた私の方を見た。
女3「知ってることって言っても……最初は誰だったかしら?」
女2「ほら、曽山さんに用事があって来た親戚の……」
女1「あと町の食堂に薪を届けに来た細野さんも、荷車だけ置いて姿を消したって……」
女性たちはこの町に来て忽然と姿を消した人について、次々と挙げていった。
私はそれらを、一字一句忘れないように紙に書き起こした。
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サリア(プロフ) - きのこさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです(´∀`*) 更新頑張ります! (2020年3月2日 11時) (レス) id: 5231526d40 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ - この作品超好きです!!更新頑張って下さい! (2020年3月1日 23時) (レス) id: 45b1b66d37 (このIDを非表示/違反報告)
サリア(プロフ) - ふ ろ ふ き 大 根さん» コメントありがとうございます!更新頑張ります!(*´∇`*) (2020年2月28日 19時) (レス) id: 02855f94f3 (このIDを非表示/違反報告)
ふ ろ ふ き 大 根(プロフ) - ストーリーめっちゃ好きです!!続き楽しみにしてます( ・∇・)更新がんばってください!! (2020年2月28日 16時) (レス) id: cfd0445662 (このIDを非表示/違反報告)
サリア(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます!神作品だなんて…嬉しいです(´∀`*) 更新頑張ります! (2020年2月27日 23時) (レス) id: 02855f94f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サリア | 作成日時:2020年2月26日 15時