鬼狩り14 ページ14
〜蜜璃サイド〜
するとAちゃんは、驚いた様子で心配そうに訊ねてきた。
貴方「高い所から落ちたの!? 怪我は? もししてるなら診てあげる!」
そう言って、怪我を探すように私の腕や足を見る。
私は慌てて両手を振った。
蜜璃「け、怪我はしてないから大丈夫!
私……普通の人よりずっと丈夫だから」
貴方「え?」
そう……私は普通の人と違う。
____『君と結婚できるのなんて熊か猪くらいだ』
____『そのおかしな髪の色も子供に遺伝したらと思うとゾッとする』
お見合い相手から、まるで怪物であるかのように散々な言われ方をしてきた。
そしてもちろん、すべてのお見合いは破談となった。
蜜璃「私、昔からとても力が強いの。1歳の時、四貫の漬物石を持ち上げたことがあって……」
貴方「1歳で四貫……?」
Aちゃんはポカンと目を丸くしながら私の話を聞いていた。
蜜璃「そのせいなのか、食欲も人並み以上でね。この髪色もあって、私と結婚したいって言う人はいなかった。
だから、結婚するために自分を隠した時期があったの。力の弱いフリをしたり、髪を黒く染めたり。
でも……ふと思った。自分自身に嘘をついて、騙し続けたままでいいのかなって」
そう心の本音を話すと、Aちゃんは焚き火の方を向いて、パチパチと音を立てる火の粉をジッと見つめた。
そして、ぽつりと言葉を溢した。
貴方「……自分を隠して、騙すって、辛いことだよね」
蜜璃「!!」
焚き火に照らされるAちゃんの横顔は、どこか切なくて____
Aちゃんも、人には言えない何かを抱えているのかな? と……そう思った。
蜜璃「うん。だから、私……決めたの!」
私は空を見上げながら、自分の手を空に向かってかざした。
蜜璃「ありのままの自分ができる、人の役に立つことがしたいって!」
自分を隠さない。偽らない。
自分が自分でいられる居場所を見つけたい!
そんな気持ちを思い切って吐露すると、Aちゃんは柔らかく微笑んだ。
貴方「私も、蜜璃ちゃんにはありのままでいてほしいな。
力持ちでいっぱい食べる女の子って、すごく素敵だと思うもん。どうして隠さなきゃいけないの?」
蜜璃「Aちゃん……」
そんなことを言ってくれる人、家族以外にはいなかったな……。
そう思うと、Aちゃんの言葉が嬉しくて思わず泣きそうになった。
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サリア(プロフ) - きのこさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです(´∀`*) 更新頑張ります! (2020年3月2日 11時) (レス) id: 5231526d40 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ - この作品超好きです!!更新頑張って下さい! (2020年3月1日 23時) (レス) id: 45b1b66d37 (このIDを非表示/違反報告)
サリア(プロフ) - ふ ろ ふ き 大 根さん» コメントありがとうございます!更新頑張ります!(*´∇`*) (2020年2月28日 19時) (レス) id: 02855f94f3 (このIDを非表示/違反報告)
ふ ろ ふ き 大 根(プロフ) - ストーリーめっちゃ好きです!!続き楽しみにしてます( ・∇・)更新がんばってください!! (2020年2月28日 16時) (レス) id: cfd0445662 (このIDを非表示/違反報告)
サリア(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます!神作品だなんて…嬉しいです(´∀`*) 更新頑張ります! (2020年2月27日 23時) (レス) id: 02855f94f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サリア | 作成日時:2020年2月26日 15時