隠し事 ページ42
〜霧野side〜
倉間が隣から消えた。
そして代わりのように俺の目の前に現れたのは、神童の姿をした『キラキラ様』だった。
神童？［俺の何を知りたい？ 言ってみろ］
キラキラ様……神童がそう言って笑う。
俺がAではなく神童の名前を書いた理由＿＿＿＿
最初はAの名前を書いて、好きな人とか、神童と浜野との関係とかを聞こうと思っていた。
けれど、思い出したんだ。以前から……どうしても気になっていたことがあったのを。
霧野「なあ神童。お前、俺に隠し事してるよな？」
そう尋ねると、神童は素直に頷いた。
神童？［ああ、俺はお前にいくつも隠し事をしている］
やっぱり。それもいくつもって……
そりゃ人間、秘密の一つや二つあったっておかしくないけどさ。
神童だって人間だ。いくら勉強ができてピアノも上手くてサッカーもできる、そんな完璧な存在だとしても。
元々責任感が強くて、何でも背負い込んでしまうタイプ。俺への隠し事が多いのは……悔しいけど、仕方ないだろう。
けれど、俺は＿＿＿どんなことであっても、包み隠さず話してほしい。
幼馴染で……親友、だよな？ 俺たち。
霧野「何を隠しているんだ？ 教えてくれよ」
神童？［そうだな。実は一昨日の登校中に、お前が犬のフンを踏んだのを見てしまった。
だが言うタイミングを見失って結局ずっと黙っていた。すまない］
霧野「……は？」
一昨日って、金曜日？ 俺、朝から犬のフンなんて踏んでたのかよ！？
そういやあの時、錦と浜野と馬鹿騒ぎしながら歩いてたっけ。全然気づかなかった。思えば神童が何か言いたそうにしていたような気が……
＿＿＿＿って、そんなのは別にどうでもいい！！
霧野「そんなんじゃなくて！ もっとこう、……なんて言うか
そ、そうだ！ 最近浜野とよく一緒にいるよな？ 誰といようがお前の自由だけど、ちょっと気になったんだ。
休みの日も一緒みたいだし……」
大雑把な質問では返答も雑になることに気づいて、具体的な質問をする。
神童？［ああ、浜野とは最近一緒にいることが増えた］
霧野「だよな。何か理由があるのか？」
神童？［………。
2人で行動した方が、魔人を早く確実に倒すことができる。
何より、俺たちには共通点があるんだ］
少し間が空いた後、神童はそう答えた。
＿＿＿＿
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作者名：サリア | 作成日時：2020年2月6日 21時
