09 邂逅 ページ10
そして今度は足を勢い良く出し、犯人の顔にクリーンヒットさせる。
爆弾のスイッチは邪魔なので、その辺の床に放り投げた。
人質から手の離れた犯人を、力加減無しに、そのまま押さえ付けたので。
「ぐわあぁ!」
その悲痛な叫びをきき、直ぐに谷崎と、拳銃を構えた国木田さんが入ってきた。
そして、呆然と瞳を動かす武装探偵社社員たち。
Aはちらりと、人質になっていた事務員を見やる。
「あ……あ、その子が、助けてくれて……」
その言葉をきき、一先ず探偵社は迅速に人質の救助、爆弾の処理、そして男の拘束等、事件の収拾を始めて。
「で、貴様は誰だ」
当然の結果だった。
当然の経過だった。
うわ、まじか。
探偵社の危機を救った様なもんだし、適当に話をつけて帰れると思ったが。
流石国木田さんは、真面目極まりない。
「………」
まあつまり。
やっぱり、
私はこの世界にいてはいけないのだ。
「……………」
私は咄嗟に、その何かが怖くて、
つい、逃げた。
あの鏡の世界なら、
誰も追って来れない……!
社員たちは少し吃驚していたが、おやまあという感じで。そこまで焦っていない感じで。
「異能力――『細雪』」
とりあえずこの場からは逃げようかと。
彼等と私は、今迄も此れからも関係ないのだと。
眼前の硝子目掛けて、
Aは飛び込んだ。
のだが。
額に鋭い痛み。
脳の中が、揺れた。
視界はボヤけて。
その反動で身体は跳ね返る。
何が起きたか、解らない。
でも理解出来たのは、
私が資料棚の硝子に見えていたものは、実は壁だったということくらいで。
「…………」
天井を見上げ、鈍痛の中、仰向けに倒れている私が朦朧と見たのは。
「あ……ごめ、ごめんなさい……!」
白い帽子、
そして此方に伸ばされた空を掴む手と、
涙目の谷崎潤一郎だった。
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neko - 江戸川乱歩様、貴方には異能力が全く御座いません。サッパリです。 (2020年10月1日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - マカロニさん» マカロニ様、ご指摘ありがとうございます。早速プロローグにさせて頂きました。この様に切ない技量ですが、更新頑張りますので宜しくお願い致します! (2019年12月30日 11時) (レス) id: 51ec71086f (このIDを非表示/違反報告)
マカロニ(プロフ) - コメント失礼します。第一話のエピローグはプロローグの間違いではないでしょうか?(エピローグは終わりの時なので……)初コメントがこのような形ですみません。更新頑張って下さい。 (2019年12月30日 8時) (レス) id: 30ec427a94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:午 | 作成日時:2019年12月22日 22時