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20 透明な糸 ページ21

奥から伸びるフェルトや毛糸、人形の異様に大きな手、見れば敦君が捕まっていて……


 とてつもない速度で彼が迫ってくる。
 確かに扉は開いたけれど、皆捕らえられてる!


 もう、打つ手がない……?


「異能力……『細雪』」


 脱力した私の肩に、
 それは引っ付いて。


 それは、
 敦君が入って来た、と思ったが、
 彼はなんとその虎の握力だけで、引き込む人形手や扉に抗っていた。


 そのフリルやフェルト、人形手が彼を引き込む為、部屋の四方八方から伸びているのだが、


 それらが絡み合い、


 丁度、その影響で、


 ギュギュッと。


 Aと谷崎はくっついた。
 丁度、彼女が、彼の首に顔を埋める様に。


「!」


 え?
 え?


 ちょっと!
 偶然とはいえ、そんなにひっつかないでよ!


「…………」


 口をパクパクさせるが、勿論その想いは音にならず、届かず。


 彼の鼓動が聞こえる。


 防衛本能が働いて、
 叫んでるのに、
 叫べない。


 というか、どこを見て――


 谷崎の視線の先は、中島敦。
 何故かモンゴメリは此方を満足そうに見つめ、何事も無かったかのように、次の遊戯を始めようとしている。


「…………」


 あぁそうか。
 細雪で、敦君が捕まった様に視せているのか。


 みんな、人を助ける事ができる。
 人に干渉出来る異能力。


 私の異能は、人に関わっては、いけないから。


 その彼の真剣な横顔に、心の中で舌打ちするばかり。


「あ、貴方……どうして……!」


 何かに怯えているようなモンゴメリの震える言葉。
 彼女と対峙していたのは、あの白衣の男。
 顔は、見えない。


 そして、
 自身の身体にリボンが巻き付いていることに気づいたモンゴメリに、
 敦はこの異能を解く様、呼びかけている。


「え……わァAちゃん?!」


 細雪を解除し、一仕事終えた谷崎は今頃密着に気付いたようで、素っ頓狂な声を上げた。


 彼をキッと睨むと、谷崎は下を見て、直ぐに真っ赤な顔で、部屋の隅を向いた。


「…………」


 いつも妹とこれくらいくっついてるじゃん。
 見動き取れないんだから、不可抗力でしょ。


「あ、その、えッと……あのね」


 そして、
 敦とモンゴメリがこの家へ吸い込まれるのが見えた。


 その人形手とリボンの動きで、
 少しずつ、


 彼の顔が近づき、


「あ……」

「…………」


 その唇が、
 迫った、



 所で。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 谷崎潤一郎 , 江戸川乱歩   
作品ジャンル:アニメ
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neko - 江戸川乱歩様、貴方には異能力が全く御座いません。サッパリです。 (2020年10月1日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - マカロニさん» マカロニ様、ご指摘ありがとうございます。早速プロローグにさせて頂きました。この様に切ない技量ですが、更新頑張りますので宜しくお願い致します! (2019年12月30日 11時) (レス) id: 51ec71086f (このIDを非表示/違反報告)
マカロニ(プロフ) - コメント失礼します。第一話のエピローグはプロローグの間違いではないでしょうか?(エピローグは終わりの時なので……)初コメントがこのような形ですみません。更新頑張って下さい。 (2019年12月30日 8時) (レス) id: 30ec427a94 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年12月22日 22時

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