64 言葉は星の使い ページ24
私は生きる為に、あの箱から、もう一度外に出たんだ。
この男の子も、頑張って生きているのに、勝手に悪い想像しちゃって。
悲しみも、苦しみも、怒りも、
ちゃんと受けとめて、
ちゃんと自分のものにして、
生きていかなければ。
生きている限り、
必ず善い事がやってくるから。
善い事が、出来るから。
その命が、
短く、
終わりが、
近付こうとも。
いやまあ、でもしかし。
Aは彼の肩をガッと掴んで、言った。
「私、貴方を応援します!私も頑張りますので、頑張ってください!」
「はい!ありがとうございます!大丈夫、動物でも人でも、素直に心を込めて気持ちを話せば、思いは通じ合います!」
「……そうですよね!」
私の方が励ましたはずなのに、
私の方が、励まされたみたい。
拳を握り締め、Aは意気込んだ。
「では猫探しに行ってきます!」
「はい!ではまた!」
彼は麦わら帽子を被り直し、世界を照らす様な屈託のない笑顔で、手をヒラヒラと振ってくれた。
Aも手を振り返し、背を向け走って行く。
小さく見える彼女はキョロキョロと辺りを見渡し、そして東の方へと消えていった。
「太宰さん、彼女、頑張るみたいです」
Aを見送った宮沢賢治は、純粋な瞳を光らせた。
「だから僕も、彼女を応援しますね」
風が強く吹いた。
振り返ると、眼鏡をかけた青年が走って来るのが見える。
「あれ?どうかしましたか、国木田さん」
「ああ賢治、緊急だ」
国木田と呼ばれた青年が息を整えながら手帳を開いた。
「この近くで強盗、犯人は依然逃走中だそうだ……与謝野女医といってくれるか?」
「はい!了解です!」
首にかけていたプレートを国木田に渡して、少年は入口へ颯爽と掛けていった。
「僕も、頑張りますよー!」
それはとある少女への言葉であり、鼓舞であり、彼の原動力であり、決意の表れ。
手帳を閉じ、
「よし、此方は良いが……」
国木田は溜息をついた。
「太宰の阿呆は何処へ行った……」
そして再度ついた溜息は、かなり深かった。
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午(プロフ) - 雪さん» 雪様、ご感想ありがとうございます! 文章が綺麗っていわれてとーっても嬉しいです! 雪様にお会い出来て良かったです! また遊びに来てください! (2023年3月29日 22時) (レス) id: 26aa10f063 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - めちゃくちゃ感動しました…語彙力ないせいで上手く言葉に出来ないのが本当に悔しい…本当に文章が綺麗で惹き込まれます…この小説と出会えてほんとうに良かったです…( ; ; )♡ (2023年3月29日 5時) (レス) @page49 id: 235d41d493 (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - yuriさん» yuri様初めまして、ご感想ありがとうございます!やばいくらい泣かれましたか……うぉぉありがとうございます!夢主を幸せに出来ました、思う存分叫んでください!これからも頑張ります。ありがとうございました! (2021年4月19日 23時) (レス) id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)
yuri(プロフ) - はじめまして!初めてこの作品を読ませていただいたものです!感想を一つ2つ言いたいのですがあの泣きましたすごいもおあのやばいぐらいはい。それでもう一つ夢主ちゃん最終幸せに生きれてよかったねぇて叫びたい└(^o^)┘ではこれからも応援してます!頑張って下さい (2021年4月19日 20時) (レス) id: 2cc33a2b3d (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - シオリ様、ご読了と感想についてのご質問有難うございます!小説用Twitterはありません!既に下記文面で喜んで頂けた事が判明しているので、宜しければ此方にご感想を書いて頂くか、何もしなくても大丈夫です!お気軽に、宜しくお願い致します!此れからも頑張ります! (2020年1月20日 21時) (レス) id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:午 | 作成日時:2019年7月14日 14時