53 縁の下の星 ページ13
「お写真、お忘れですよ〜!お見かけ致しましたので、お届けに参りました〜!」
「要らねェつッてンだろ!」
どうやらあのアシカのナッちゃんと写真を撮ってくれた人らしい。
笑顔が眩しい。
「思い出に是非!」
「え、私?」
「またのご来場、お待ちしておりま〜す!」
外灯の下、ばさばさと写真を太宰に渡し、清々しい顔で帰っていってしまった。
サービス精神が、本当に旺盛。
「うわあ、本当に中也、アシカと写真撮ったの。ナッちゃんはいいけど、これはゴミだよ要らな、い……よ」
なんか量が多いなと思った。
中原中也の写真に紛れて、その前に撮った写真も混ざってしまったのだろう、知っている女の子の笑顔が、一枚だけあった。
その子は、本当に楽しそうで。
その子は、本当に嬉しそうで。
本当に、幸せそうで。
写真。
そう言えば、最後に撮ったのはいつだっただろうか。
覚えているものと言えば、あの、バーで、三人で撮った……
そうして、その他の写真をバラバラと地表に落とした。
まるで、星の様に。
「おい不法投棄野郎。流石にその写真がヨコハマを巡ったらポートマフィアが落ちぶれるだろーがよ」
しゃがんで、暗くて見えないだのほんとムカつくだのグチグチ言いながら掻き集め、
「今日の手前から首を取っても、蟠りが浮き上がってきそうでしょうがねェ」
立ち上がり、中原は太宰と反対方向を向いた。
「石Aは、迎えが来たのかよ」
「そうだよ。君の出る幕は全くなかったね。無駄足にも程がある」
「あーそーかよクソッ」
舌打ちしながら、その声は遠ざかっていく。本当、なんで安吾は中也なんかに、今回の任務を命じたのか。
「精々、次に遭う時まで、余生を楽しむんだな。つーか絶対ェ遭いたかねーけどな!遭わねェからな!」
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午(プロフ) - 雪さん» 雪様、ご感想ありがとうございます! 文章が綺麗っていわれてとーっても嬉しいです! 雪様にお会い出来て良かったです! また遊びに来てください! (2023年3月29日 22時) (レス) id: 26aa10f063 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - めちゃくちゃ感動しました…語彙力ないせいで上手く言葉に出来ないのが本当に悔しい…本当に文章が綺麗で惹き込まれます…この小説と出会えてほんとうに良かったです…( ; ; )♡ (2023年3月29日 5時) (レス) @page49 id: 235d41d493 (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - yuriさん» yuri様初めまして、ご感想ありがとうございます!やばいくらい泣かれましたか……うぉぉありがとうございます!夢主を幸せに出来ました、思う存分叫んでください!これからも頑張ります。ありがとうございました! (2021年4月19日 23時) (レス) id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)
yuri(プロフ) - はじめまして!初めてこの作品を読ませていただいたものです!感想を一つ2つ言いたいのですがあの泣きましたすごいもおあのやばいぐらいはい。それでもう一つ夢主ちゃん最終幸せに生きれてよかったねぇて叫びたい└(^o^)┘ではこれからも応援してます!頑張って下さい (2021年4月19日 20時) (レス) id: 2cc33a2b3d (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - シオリ様、ご読了と感想についてのご質問有難うございます!小説用Twitterはありません!既に下記文面で喜んで頂けた事が判明しているので、宜しければ此方にご感想を書いて頂くか、何もしなくても大丈夫です!お気軽に、宜しくお願い致します!此れからも頑張ります! (2020年1月20日 21時) (レス) id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:午 | 作成日時:2019年7月14日 14時