太宰治 オレンジケーキ【ハイド様Req.】 ページ8
「グランマルニエだね。仏蘭西原産の」
椅子に寄り掛かり、そのオレンジリキュールの蓋を開けている死神の様な少年。
「駄目ですよ太宰様。40℃もあります」
「アルコールなんて、加熱したら飛ぶじゃないか」
「全て蒸発するとは限りません。このケーキに不可欠な材料というだけです」
ぐぬぬ、と中原中也すら見た事の無い顔で、太宰は少し後ずさる。
ほんと、思い通りに動いてくれないよなぁ。
「調子狂う」
「最年少幹部様を弄べるとは光栄の極みです」
そうして太陽の様なオレンジをカットしていく。
皮まで丸ごと使うので、身に詰まったジューシーな果汁が爽やかで。
「それ美味しい？」
「んー、我々は子供ですから、苦味がアクセントのこれはどうでしょう」
僕を子供扱いするとは。
15歳で、幹部で、心中だって何度もしてるのに！
「善い香り」
「でしょうでしょう」
生地の上にオレンジを並べ、オーブンへ。
ゴオォという音の中、太宰は一切動かない。
「コアントローとか、オレンジを使った酒って、アルコール度数高いですよね」
「よく知ってるね。同い歳なのに」
「よく使います故」
Aが揺らす小瓶。
「あぁ……森さんが君を重宝している訳だ」
ニコリとAは笑う。
この柔らかな表情から、
僕は目が離せない。
「マフィアきっての、毒使い」
「ビターオレンジなので、我々子供には早いのです」
焼きあがった生地にオレンジシロップを塗ると、それは宝石の様にキラキラと照り、
しっとりとした、柔らかな生地に埋まる輪切りのオレンジの可愛さに心が緩むが、
一口食べたが最期。
「眠気と遅効性の毒……穏やかな眠りの中で、甘く幸せな昇天ーーいいね、僕にも頂戴」
甘酸っぱさの広がる、幸せな死。
「此方は首領様の御用命なので……違う特別なスイーツを御用意し」
「じゃあ要らない」
引き寄せた。
瓶から香るオレンジの、ふわっとしたアルコールに目眩する。
「君だけで充分。さあ、共に幸せになろう」
さぁ、戸惑って？
「Aがいい」
僕で心を満たして、乱れて？
近付ける唇を、
その人差し指で止められる。
「……いけませんよ、太宰様」
「子供だから？」
「ええ」
その小瓶を置いて。
「なら無理矢理にでも」
大人になっちゃおうよ。
重なる唇、
アルコールの苦味。
オレンジの、苦味。
甘いドクへと……変わり行く。
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午(プロフ) - 美紅さん» 美紅様、リクエストありがとうございました。ごめんなさい、リクエストは現在受け付けておりません。ショートケーキは苺たっぷりの物が好きですね。いつもありがとうございます。また宜しくお願いします！ (2021年10月28日 20時) (
レス) id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)
美紅(プロフ) - リクはショートケーキの好物をお願いします (2021年10月26日 18時) (レス) id: 2c9c8b9b13 (このIDを非表示/違反報告)
もな - ごめんなさい!!!私の不注意で…！いや私アイス大好きなんですよ〜！関係ないんですけど（） (2021年6月19日 0時) (レス) id: 2d978a239f (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - もなさん» もな様、先日のリクのご感想ありがとうございました！そして新たなリクエストをありがとうございます。申し訳ありませんが、現在リクは受け付けておりません、ご了承ください。この時期はずっとアイス食べたいですね！またのご来場をお待ちしております！ (2021年6月12日 20時) (レス) id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)
もな - ありがとうございました…！！とっても良かったです………！！！！！出来ればリクエストでマーク・Tさんでアイスでお願いしたいです……！出来ればお願いします!! (2021年6月12日 14時) (レス) id: 2d978a239f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：午 | 作成日時：2020年1月1日 23時
