新双黒 チーズフォンデュ【月華様Req.】 ページ37
ちーずふぉんでゅとは、
「何ですか?」 「とは何だ」
ステレオスピーカーの様に、左右から聞こえてくる疑問。
「し、知らんのですかっ」
間に挟まれているAは酷く吃驚し、目の前にある敦の胸板を叩いた。
「痛いですAさん」
「あ、芥川先輩は、何故」
上を向けば陶器の様な顔。Aの腰に置かれた彼の手は微動だにしない。
「僕にとっては無用の長物である」
「それにしてもでしょう」
長時間同じ体勢で居るのに疲れて来た事から飢えを提示したが、両者理解に優れなかった。
「えっと……欧州の山岳地方発祥で、フォンデュって云うのは仏蘭西語で溶けるって意味で」
「えーっと、チーズの料理、ですよね?」
「沈黙しろ人虎……酸素が減り次第、貴様を切り刻む」
「お前も喋ってんじゃん!」
「五月蠅い。更に崩壊すれば、どう責務を負う」
彼らは。
崩れた瓦礫の下、
その一命を取り留めていた。
街端の廃墟ビル。
二人の異能でも、勿論Aの異能でも、
脱出は不可能と判断したため、
この依頼と任務の帰りが遅ければ、きっと誰か来てくれる。
そう踏んで、暇潰しをしている訳で。
「大蒜と白葡萄酒でチーズを煮て、串に刺したウインナーとかブロッコリーとか様々な具材をくぐらせてチーズと食べる料理、です」
「美味しそう……!詳しいですね」
「最近樋口と食べに行ったから……又食べたい……ん、芥川先輩、何か仰りたいならどうぞ」
全員が密着していて身動きが取れない中、後ろからの圧に反応するA。
「……人虎、先刻より距離を詰めるな」
「っ、しょうがないだろ、狭いんだから」
そう云って、身を攀じるが。
「敦君。余り動かないで、くす、ぐったい」
「あ、す、済みません」
柔らかくて、善い香り。
何だかクラクラする。
ん、気を確りと持たないと!
「Aさんは、具材は何が好きですか?」
「んー、竹輪ー、パンー、馬鈴薯ー、トマトー、鶏肉ー」
「凄い種類ですね」
「チーズは何にでも合う」
だから早く、此処を出たい。
そう、此処を、出られたら。
「此処から出られた暁には、美味しい所、御馳走してあげるね」
「わ、いいんですか?楽しみです」
「……人虎は抜きだぞ……」
然し、
Aとこんなに密着出来る事もないしなあ。
と一考する狗と虎は、
その後も悶々と、
チーズフォンデュに夢を見た、とか。
さんこいち 汁無し担々麺→←旧双黒、芥川龍之介 ロールキャベツ【月華様Req.】
78人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
午(プロフ) - 美紅さん» 美紅様、リクエストありがとうございました。ごめんなさい、リクエストは現在受け付けておりません。ショートケーキは苺たっぷりの物が好きですね。いつもありがとうございます。また宜しくお願いします! (2021年10月28日 20時) (レス) id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)
美紅(プロフ) - リクはショートケーキの好物をお願いします (2021年10月26日 18時) (レス) id: 2c9c8b9b13 (このIDを非表示/違反報告)
もな - ごめんなさい!!!私の不注意で…!いや私アイス大好きなんですよ〜!関係ないんですけど() (2021年6月19日 0時) (レス) id: 2d978a239f (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - もなさん» もな様、先日のリクのご感想ありがとうございました!そして新たなリクエストをありがとうございます。申し訳ありませんが、現在リクは受け付けておりません、ご了承ください。この時期はずっとアイス食べたいですね!またのご来場をお待ちしております! (2021年6月12日 20時) (レス) id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)
もな - ありがとうございました…!!とっても良かったです………!!!!!出来ればリクエストでマーク・Tさんでアイスでお願いしたいです……!出来ればお願いします!! (2021年6月12日 14時) (レス) id: 2d978a239f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:午 | 作成日時:2020年1月1日 23時