谷崎潤一郎 金平牛蒡【ハイド様Req.】 ページ24
「まず牛蒡は棒で叩いて笹がき、人参は千切り、蓮根は半月切りにする」
「うん、それでAちゃん、次は?」
「鍋を熱して、胡麻油と赤唐辛子を温める」
「そして?」
「具材を炒めて、醤油と味醂と酒諸々で炒り煮する」
「上手い上手い!じゃあ最後に…」
「小鉢に盛付け。ポイントは、赤と白と灰色を疎らに、真ん中を高めに……最後に白胡麻をかければ――完成!」
「良く出来ましたー!」
笑顔の谷崎の前には、A手製の金平牛蒡。
色どりに加え、漂う胡麻・醤油・味醂の香り、申し分ない出来栄え。
「じゃあ……食べるよ?」
「…お願いします」
どきどきの瞬間。見つめる彼の表情は……ぱあっと、輝いた。
「美味しい!ピリ辛で、丁度良い味付けだよ」
「や、やったぁー…」
「よく頑張ったねAちゃん。これで家庭科の試験、合格間違い無し!」
「先生が良かった!ありがとう潤君!」
この一週間程、谷崎家に通いまくった回があった!
改めてAも一口。
「おぉ……ちゃんと美味しい……」
根菜類のシャキシャキとした歯応え、甘辛いタレと絡み、胡麻の風味も良くて。
「それにしても、Aちゃんの学校は凄いね。家庭科の実技試験が金平牛蒡とか。ナオミの学校はなかった気がする」
「そう?最初はホットケーキとか卵焼きとかシンプルだったんだけどね」
互いの肩と肩をくっつける。とても落ち着く。
「Aちゃんは、立派なお嫁さんになれるね。相手は嬉しいだろうな」
「え、ほんと?!潤君嬉しいの?!」
「え」
「え」
沈黙。
胡麻油の香りだけが流れていく。
二人、顔が真っ赤になっていく。
「……その…僕、そんなにカッコよくないし、社でもヘタレッて呼ばれてるし……取り柄もないし」
「え!潤君カッコいいよ!私は好きだもん!」
Aちゃんは、
「それに前も、悪漢に襲われた時助けてくれたし、めっちゃ強い!」
僕の欲しい言葉を、
「料理も出来るし、色んな乗り物運転できるし、勉強も教えてくれるし!優しい!」
全部、くれる。
「逆に私が釣り合わな」
「釣り合います!」
潤君が、今日一叫んだ。そして抱き締められる。
「だから……お願い」
「……うん」
その力が、徐々に強まっていく。
あ、やばい?
そう思った時、妙に低い彼の声が、響いた。
「……ねぇ、今日、ナオミは帰ッてこないんだけど――ねえ、A――」
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午(プロフ) - 体の90%がラムネさん» 体の90%がラムネ様、ご感想ありがとうございます!また三期でお待ちしております、宜しくお願い致します!更新頑張ってください! (2019年12月21日 23時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - 闇川幽鬼さん» 闇川幽鬼様、単品で織田作登場です!ありがとうございます! (2019年12月21日 23時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)
体の90%がラムネ - 初コメです!めっちゃ良きでした!!突然ですが、リクエストしたいですが…。ダメでしたね。すいません!また募集している時にいきます!更新待ってます!(自分も更新しろよと思う今日この頃) (2019年12月21日 13時) (レス) id: 8dd45af6f4 (このIDを非表示/違反報告)
闇川幽鬼 - 作之助様登場!!(*゚∀゚*)嬉しいです!(*^_^*) (2019年12月21日 0時) (レス) id: 56867ea8da (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - 月瀬さん» 月瀬様、リクエストありがとうございます!只今からのリクエストは無効とします。ゆっくりで申し訳ありませんが、宜しくお願い致します! (2019年12月15日 11時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:午 | 作成日時:2019年8月25日 17時