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江戸川乱歩 欠き氷 ページ21

「わー凄いです乱歩さん!今のは大きい!綺麗!」

「はっはっは!Aは子供だなあ、落ち着け!僕の華麗なる蜜がけを見ているが良い!」


 夜空に咲く大輪の花々。赤青黃、白にオレンジ桜色、これぞ夏の風物詩。

 然し当の彼は、その色とりどりよりも、目前の色とりどりに夢中だった。


 苺、檸檬、抹茶、ブルーハワイ、甘露、練乳、マンゴー、珈琲、梅、充実したラインナップを、

 発泡スチロールに入った、ふわふわタイプの氷にたんまりと掛けまくっていて。

 Aはというと花火見物に興じていたが、自らの氷が削られる番になると、そちらに目を奪われた。


 雪の様に降り注ぐ氷。
 そこだけ冬みたいで、涼を感じる。


 小さな氷山を貰い、さてどの蜜をかけようか考え始めると。


「わーい出来た!見て見てA!」


 26歳小学生の方を向くと、無邪気な笑顔で見せてきたかき氷には。


 虹がかかっていた。


「うわっ全部かけたんですか!」

「全がけは普通でしょー?」


 かなり美しく彩られている氷。
 その謎の集中力、どごから来るの?異能なの?


「Aはどれにするの?」

「あ、んー」


 まあここは、定番の苺ミルクかな。
 赤をだばっと、白をトロリとかけて。


「「頂きまーす」」


 一口入れたら途端に溶け、
 また次の一口もふわりと溶け、

 濃厚な苺味とミルク!
 追いかけるスプーンが止まらない!

 冷たい世界に口の中は満たされ、
 体中ひんやりと。

 暑い夜にぴったりなスイーツである。


 と、Aの赤い氷に乱歩のスプーンが刺さった。何も言わず、サクサク食べ続けている。


「乱歩さん食べ終わっちゃいました?」

「混ざって真っ黒になっちゃったー」


 見せてきた氷は半分水で、しかもシロップが混ざりまくっててどんよりとしている。

 ほんと小学生か。


「どんな味か気になるので一口いいですか?」

「いーよー…。うっ、キーンってきたっ」


 一口貰ってみた。


「?!」


 脳が処理し切れない味だった。甘いのに、甘くない味が混ざって、なんか、何これ!


「こ、これ、舌おかしくなってません?!」


 べっと、Aが舌を出すと、


「うっわー変な色!」


 楽しそうな乱歩さんの顔が近付いてくる。

 そして、


 舌を舌で舐められた。
 冷たくて、甘い。


「変な味ぃ!」


 苦そうに笑った乱歩さんの顔は、花火で色とりどりに輝いていて、


 Aには、真っ赤な花火が上がった。

江戸川乱歩&坂口安吾 お好み焼き(学スト)【雪ノ葉様Req.】→←国木田独歩 シフォンケーキ



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 短編集 , 甘い   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 体の90%がラムネさん» 体の90%がラムネ様、ご感想ありがとうございます!また三期でお待ちしております、宜しくお願い致します!更新頑張ってください! (2019年12月21日 23時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 闇川幽鬼さん» 闇川幽鬼様、単品で織田作登場です!ありがとうございます! (2019年12月21日 23時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)
体の90%がラムネ - 初コメです!めっちゃ良きでした!!突然ですが、リクエストしたいですが…。ダメでしたね。すいません!また募集している時にいきます!更新待ってます!(自分も更新しろよと思う今日この頃) (2019年12月21日 13時) (レス) id: 8dd45af6f4 (このIDを非表示/違反報告)
闇川幽鬼 - 作之助様登場!!(*゚∀゚*)嬉しいです!(*^_^*) (2019年12月21日 0時) (レス) id: 56867ea8da (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 月瀬さん» 月瀬様、リクエストありがとうございます!只今からのリクエストは無効とします。ゆっくりで申し訳ありませんが、宜しくお願い致します! (2019年12月15日 11時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年8月25日 17時

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