29 日和 ページ30
うららかな風吹く日。
遠くまで澄み渡る空、小鳥の囀り、その小高い丘の上には、一本の巨大な、白い花咲き誇る大樹が、太陽に向かって幹を伸ばしていた。
「気持ちいいですね……首領」
「気に入ってくれたかい? ここはうちの領土でね、ポートマフィア以外は入れないから、のんびり出来ると思うよ」
こんな広い土地を持ってるとか流石ポートマフィアだな……!
「すぐ近くだし、いつでも好きな時に遊びに来ていいからね」
「わあ! ありがとうございます!」
なんてリフレッシュ出来る場所!
歌ったら気持ち良さそう!
「Aや、私の前が空いとるぞ」
「はーい! ありがとうございます、姐様!」
日陰に作られた長いテーブルの上には、豪勢な料理や酒の数々、尾崎紅葉の手前に座ると、右隣は空席で、左隣は中原中也だった。
「手前……」
「ん? なんでしょう、中原さん」
Aは首を傾げた。
「あ、いや、その」
中原は初対面の時のようにどぎまぎしている。
本日のAはいつもと違った。
いつもおろしている黒髪をアップにし、月のかんざしでまとめ、
青い花が細かく散らばった白い着物の上に、灰色の羽織を身に着けていた。
メイクもそれに合わせた雅なものになっている。
「な、なンでもねェよ」
「はあ」
帽子で顔を隠された。
どうされたのかしら。
「あれ、そういえば、ひぐっちゃんや芥川さんは?」
「任務があるから遅れてくるんだってよ」
立原さんが教えてくれた。
最近、この人は口はぶっきらぼうだけど、面倒見の良い人なんだと分かった。
銀ちゃんもコクコクと頷いてくれている。
「ふふっ、わかりました。ありがとうございます」
テーブルの上に、ちらほらと花びらが舞い散る。
「それにしても、綺麗なお花ですね……」
「ヨコハマの中でもかなりの樹齢じゃぞ」
「そうなんですか」
尾崎の言葉を受け、Aは樹を見上げた。
「ずっと昔から、ヨコハマとポートマフィアを、見守ってくれているんですね……」
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午(プロフ) - リアさん» リア様、素敵なご感想とご指摘をありがとうございました!全然気付かなかったのでありがたいです。近いうちに修正します!またいつでも遊びに来てくださいませ! (2021年2月2日 23時) (レス) id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)
リア - 少し高圧的でしたかね?不快でしたら申し訳ない…更新頑張ってください!(唐突〜 無理矢理とか言うんじゃねぇ!) (2021年1月31日 23時) (レス) id: bba845c06e (このIDを非表示/違反報告)
リア - 凄く面白いですね!すぐ読み進めてしまいました!少し気になったのですが、34の所で夢主が芥川さんのことを龍之介さんではなく、芥川さんと言っていたのですが、これは意図的なものなのでしょうか?もし意図的にそうしているなら、すみませんが訂正されては如何ですか? (2021年1月31日 23時) (レス) id: bba845c06e (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - 徒花さん» 徒花様、ご感想ありがとうございます!頑張ります! (2019年6月30日 0時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)
徒花 - この作品初めて見ましたが面白かったです!頑張ってください (2019年6月29日 19時) (レス) id: 5d280f12f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:午 | 作成日時:2019年5月14日 21時