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27 真夜中、お散歩 ページ28

筧Aは暗闇の中、目を覚ます。


「…………………」


 明日の花見の会が楽しみで、眠れない……!

 ぐーっと目を瞑っても、意識ははっきりとしてきて、むしろ目は冴えてくる。


「……お散歩でもしようかな」


 寝間着の上からカーディガンを羽織ると、Aは自室を出た。


 ガランとした廊下。
 いつもは人通りの多めなホール。
 月明かりが窓から差し込む食堂。

 深夜は不思議な感じになる。


 中庭に向かおうとすると、人影が見えた。


「あ、今晩は」

「お?」


 中原さんだった。
 手に、葡萄酒を持っている。


「おっとォ、真逆、Aサンに見つかッちまうとはなァ」

「え?なんですかなんですか」


 帽子をクイッと上げ、彼は笑う。


「花見に持ッていくやつを、いくつか試飲しようと思ッてな……アンタも来るかァ?」

「え!いいんですか!」

「いいぜ」

「ありがとうございます!」


 ということで、中庭に2人で向かった。


「こんな遅くまで起きてるとは、とんだ悪い子だなァ」

「違いますよ。私、次の日に何か楽しみなことがあると眠れないんです」

「そうなのか。くくッ」


 意地悪っぽく中原さんは笑う。なんかいつも笑われている気がする。


「いやァ、Aサンを見ていると、飽きねェわ」

「……楽しんで頂けているなら何よりです?」


 そうして辿り着いた中庭の噴水横には、簡易な椅子とテーブルが置いてあり、二人の先客がいた。


「おや、筧嬢もご一緒ですかな」

「広津さん!」

「Aではないか。どうしたんじゃ、眠れないのかえ?」

「姐様!いやー実はそうでして、ちょっとお邪魔させて頂きますね」


 たはっと笑いながら、中原が引いてくれた椅子に座る。


「ありがとうございます、中原さん」

「いえいえ?」


 そして咳払いをした中原は、改めてこちらに向き直る。


「さて皆さん、今宵はお集まり頂き、ありがとうございます。こちらが、本日の一品だぜ」


 持っていたボトルを見せつけ、テーブルの上に置いた。

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設定タグ:中原中也 , 芥川龍之介 , 文豪ストレイドッグス   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - リアさん» リア様、素敵なご感想とご指摘をありがとうございました!全然気付かなかったのでありがたいです。近いうちに修正します!またいつでも遊びに来てくださいませ! (2021年2月2日 23時) (レス) id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)
リア - 少し高圧的でしたかね?不快でしたら申し訳ない…更新頑張ってください!(唐突〜 無理矢理とか言うんじゃねぇ!) (2021年1月31日 23時) (レス) id: bba845c06e (このIDを非表示/違反報告)
リア - 凄く面白いですね!すぐ読み進めてしまいました!少し気になったのですが、34の所で夢主が芥川さんのことを龍之介さんではなく、芥川さんと言っていたのですが、これは意図的なものなのでしょうか?もし意図的にそうしているなら、すみませんが訂正されては如何ですか? (2021年1月31日 23時) (レス) id: bba845c06e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 徒花さん» 徒花様、ご感想ありがとうございます!頑張ります! (2019年6月30日 0時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)
徒花 - この作品初めて見ましたが面白かったです!頑張ってください (2019年6月29日 19時) (レス) id: 5d280f12f7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年5月14日 21時

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