治癒の異能を持つ少女はポートマフィアに愛される【文スト】

22　お揃い ページ23

「おぉA、この色も似合うのお。桜も良いのお」

「あたしと同じリボンのにしましょうよ！」

「エリスちゃんはどれも似合うねぇ。紅葉君の選んでくれた和服、楽しみだよ」


　様々な髪型で、様々なかんざしを付けられ、選ぶに選べなくなってくる。


　収集つかなくなってきた……！


「あ、樋口さんのそのかんざし、凄く似合いますね！」

「え…………」


　彼女が持っていたのは、星の飾りが付いた青色のかんざし。


「うむ、良いではないか！ぬしにも和装を用意してやろうかの」

「かわいいじゃない！ きれいね！」

「あ、では私はこれに……」

「私はどうしよー、迷っちゃって、困っちゃうなあ」


「…………」


　樋口は徐に、尾崎とエリスが選んだものの中から、一つのかんざしを取った。


「あの……筧さん、良かったら……装飾違いのお揃いにしませんか？」


　その青いかんざしには、月の装飾が付いていた。


　その言葉をきいたAは、ぱぁっと笑顔になる。


「………はい！喜んで！」


　樋口の手ごと両手で包み込み、ニッコリと笑った。


　最近喋れていなかったので、彼女との仲を少し危うんでいたが、今のでAは吹っ切れた。


「樋口さん、私のことはAって呼んでください！私も名前でお呼びしていいですか？」

「や、流石にそれは……」

「あ、じゃあ渾名にしましょう！ えーっと……ひぐっちゃんで！」

「えええ！」

「決定です！」


　ポカンとする森とエリスを尻目に、尾崎は更に頬を緩ませ、


「愛いのぅ」


　持っていたうさぎの耳が付いたかんざしを、棚へ戻した。

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