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10 御礼、就職先 ページ11

「ね。わたし、エリス。あなたの歌、とっても好きよ。また歌ってね」


 鈴のなるような声。
 可愛い!


「え、あ、ありがとう!」


 感想を云われたのが嬉しくて、お互い満面の笑みになる。


「ふふ。さて筧君。話があるんだけど」


 男性の方が口を切った。
 そして樋口さんの方に視線を向けると、彼女は持っていたアタッシュケースを机の上に起き、開く。


 アタッシュケースの中身は、


 ぎっしりと詰まった札束だった。


「………………………」


 開いた口が、塞がらない。


 テレビで観たことある、
 本で見たことがある、
 取引とかそういう時に出てくるような。


 私が唖然としていると、


「私は森鴎外。
 このポートマフィアの首領をやっているんだけど、まずは芥川君を助けてくれてありがとうね。こちらはお礼だよ、受け取ってくれるかい?」


 頬杖をつきながら、彼は微笑んだ。


「いえ、結構です!」


 これは正しい即答だと思った。
 なんか他に、ポートマフィアとか大事なこと云ってたと思うけど!


 こんな大金!


「私、歌わせて貰っただけなので! お礼とか、結構です!ありがとうございました!」


 すると森さんはうーんと考え、


「ではこれは前金だ。筧A君、うちに入らないかい?」

「え」


「君の異能は素晴らしい。それに伴った身体能力もずば抜けている。悪いようにはしないから、ね?どうかなあ」

「え、でも」


「聞けば君、前の会社を辞めているそうじゃないか。そんな若いのに無職なんて、この街ではやって行けないよ。うちは福利厚生も凄いよ」

「あ、でも」


「それに筧君、ヨコハマまで出稼ぎに来ているんだろう? あちらのご家族に心配させてしまうんじゃないのかい」

「…………」


「で、どうかな」

「つ……慎んで……お願い、致し、ます……!」


 なぜそのことを?などの疑問は飛んでいき、ほぼ云いくるめられたように、Aは快答した。


 正しいのか、正しくないのか分からない、即答を。


「はは。宜しくな、Aサン?」


 中原さんが只々、面白そうに笑っていた。

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設定タグ:中原中也 , 芥川龍之介 , 文豪ストレイドッグス   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - リアさん» リア様、素敵なご感想とご指摘をありがとうございました!全然気付かなかったのでありがたいです。近いうちに修正します!またいつでも遊びに来てくださいませ! (2021年2月2日 23時) (レス) id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)
リア - 少し高圧的でしたかね?不快でしたら申し訳ない…更新頑張ってください!(唐突〜 無理矢理とか言うんじゃねぇ!) (2021年1月31日 23時) (レス) id: bba845c06e (このIDを非表示/違反報告)
リア - 凄く面白いですね!すぐ読み進めてしまいました!少し気になったのですが、34の所で夢主が芥川さんのことを龍之介さんではなく、芥川さんと言っていたのですが、これは意図的なものなのでしょうか?もし意図的にそうしているなら、すみませんが訂正されては如何ですか? (2021年1月31日 23時) (レス) id: bba845c06e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 徒花さん» 徒花様、ご感想ありがとうございます!頑張ります! (2019年6月30日 0時) (レス) id: b0368434d0 (このIDを非表示/違反報告)
徒花 - この作品初めて見ましたが面白かったです!頑張ってください (2019年6月29日 19時) (レス) id: 5d280f12f7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年5月14日 21時

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