25 闇に光る ページ25
「うわっ、なんだこれ」
「あ、せんせーおはよーございまーす」
「虫太郎君、起こしちゃったであるか？……申し訳ないのである……」
物音で目が覚めた。
暗闇に手を伸ばし、横を見るとAが居ない。
廊下の灯りが漏れていたので、
目を擦りながら話し声のする広間に行くと、案の定この屋敷の主と家政婦が居た。
数日ぶりに見た。
「あー、主様動かないでくださいー」
「……済みません」
ポオーーーーなのだろう。
彼は何時もと違う髪型と服装、ボディガードの様な背広を着て、彼女はネクタイを締めてあげているらしい。何時もの毛虫感はないが、それにしても凄い身長差だな。
そしてテーブルの上には狙撃銃やら、携帯端末やら、昏倒瓦斯の発生機器やら、アタッシュケースやら、何かの作戦に使われる様々が散らばっている。
状況のみだが、理解する。
「……乱歩君の、作戦か」
ポオは小さく笑んだ。
きっとこれから、探偵社を救う為の作戦を行うのだ。
其れにポオの助けが必要なのだろう。
確かに、先日泣きながら何かしらの小説を書いていたな。
Aはその、最後の手伝いをしている。
「はい、出来ましたー」
サングラスを掛け、見事に変装を遂げた彼だが、何時もの猫背なのが気になる所だ。
「では行ってらっしゃいませ、主様」
荷物をまとめて、彼は行く。
我々は其れを、見送るのみ。
「A君、虫太郎君を頼むであるよ」
「仰せのままにー」
「…………」
彼はまたこの屋敷を留守にする。
若しかしたら帰って来ないかもしれない。
然し、我々にはどうする事も出来ないから。
「君達こそ抜かるなよ」
ヨコハマを、世界を。
もう彼らしか、いないのだ。
「……………………」
電動式の護送車に乗って、
その光が見えなくなると。
肩に柔らかな温かみ。
Aが毛布を掛けてくれていた。
「お疲れ様でした虫太郎先生……何か飲みますか？」
と、また小さな光を向けて来る。
特に何もしていないがーーーー
「うむ、頂こう」
「はーい」
こんな夜中に起きてしまったのに。
これからヨコハマは戦地になるかもしれないのに。
不思議と穏やかな、
心があるから。
「私も喉、渇いちゃいましたー」
彼女に本でも、
読んでやろうか。
彼女に文字でも、
教えてやろうか。
こんな夜が続いてもいい、そう思ってしまった。
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午(プロフ) - 尤莉さん» 尤莉様、素晴らしいご感想ありがとうございます！ 虫クン何しても愛おしいですよね〜！ 更新頑張りますので、応援宜しくお願い致します！ (2023年4月25日 22時) (
レス) id: 26aa10f063 (このIDを非表示/違反報告)
尤莉(プロフ) - 文章も丁寧で読みやすくて、すごく面白いです…！虫クンの反応が可愛くて仕方がないです…こんな作品を書ける午様を尊敬します…！更新頑張ってください、応援しています…！ (2023年4月25日 21時) (レス) id: fc1333ebd7 (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - うえむらせさん» うえむらせ様、ご感想ありがとうございました！ 虫クンの小説が増えるといいですね〜！ 更新は頑張ります！ 応援宜しくお願い致します！ (2023年4月6日 22時) (レス) id: 26aa10f063 (このIDを非表示/違反報告)
うえむらせ - はじめまして！最近虫くんにハマっているのですが、虫くんの小説が少ないので毎回更新を楽しみにさせていただいております。これからも応援しているので、更新頑張ってくださると嬉しいです！ (2023年4月6日 22時) (レス) @page23 id: ec28fead31 (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - セプンイレプンいい気分〜さん» セプンイレプンいい気分〜様、ご感想ありがとうございました！ 虫クンの布教活動と同じ位面白くして行けるように頑張ります！ 応援ありがとうございます〜！ (2023年2月8日 21時) (レス) id: 0e7339a9e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：午 | 作成日時：2022年12月28日 23時
