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43 戦場 ページ43

「先ず水を探して、食べ物も探して」

「.......俺は、寝床を拵えたらいいか」

「あー。えっと、贅沢は云わないので、日差しと雨さえ遮れれば」

「分かった」


 架空の話なのに、
 まるで本当に有りそうで、


 脳がクリアになっていく。


「船が....見えて、奇跡的に助かって、でもその船が海賊に襲われちゃったりして」

「それは.......吃驚だな」

「攻撃方法は原始的ですが、何せ数が多くて」


 私達は必ず、
 ヨコハマに帰る為に、生きるから。


「なら俺は、必ず」


 Aを守ろう。


 共に、帰ろう。
 共に。


「織田作さん海賊倒しちゃうんですか、何か、武道でも」

「違う」

「あ、すみません。えっと、作之助さ……」


 .......あれ?


「あれ.......私、ヒロインみたく、なってません?」

「違うのか」

「.....................」

「A?」
 

 笑い声。


 晴れやかな、楽しそうな。


 空に海に、響き渡る彼女の笑い声だった。


「自分が、そんな、あー、いいのかぁ.......
 あー、こういう感情かぁ。成程、これは、未だ書いてない」


 握り返された小さな手は更に熱を帯びていく。


「やめたら、書けないな.......書く.......かな?」
 

「嗚呼。......……書けばいい」


 何故、戦場を求める。


「其れが、お前の内から溢れる、小説にしたいモノであれば」


 何故、自身を否定する?


「いやー、でも其れだと、出版社の方針とか、需要とか、意向にね.......」


 聞いた。
 Aの小説に救われた者は沢山いる。


 知った。
 お前は、人を救える人間だと。


「書きたいモノを、
 読みたいモノを、
 伝えたいモノを書くのが、

 小説家で、善いと、オレは思う」


 小説は人を殺し、
 小説は人を救う。


 だから。


「小説を書くという事は、
 人間を書くという事だ」


 お前は、人を救える人間だから。


「俺は、未だ小説家じゃない。
 でもA、お前はやめていない。どうにかその場に留まろうと、必死に足掻いている.......ならば」


 此処は、戦い、救う街だから。


「俺は、Aの書いた物語が読みたい。
 お前の生き様を、見たい」


 俺を救ってくれ。


「未来なんて、誰にも分からないんだ」


 Aを、救ってくれ。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 織田作之助 , 太宰治   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 怜さん» 怜様、ご感想ありがとうございます!お優しいお言葉で、泣きそうでございます。これからも頑張ります! (2022年1月31日 20時) (レス) @page45 id: 05323f7eaa (このIDを非表示/違反報告)
- 場面を想像させる様な綺麗で幻想的な文に、しっかり作りこまれた物語。今まで読んだ織田作の夢小説の中で1番好きです。これからも頑張って下さい。 (2022年1月31日 1時) (レス) @page45 id: 64384c94d7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 柊 琥珀さん» 柊 琥珀様、ご感想ありがとうございます.......! 嬉しい.......! (2022年1月9日 0時) (レス) @page42 id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)
柊 琥珀(プロフ) - 書き方が好みだ……。 (2022年1月8日 17時) (レス) id: 17f9b038b0 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - Asukaさん» Asuka様、ありがとうございます!めっちゃ頑張って書きます! (2021年8月24日 20時) (レス) id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年6月27日 0時

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