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32 笑顔 ページ32

「えー!ずっと居ればいいじゃん!」
「今日の夜は一緒に寝るでしょー」
「ご飯も一緒に食べよーよー」
「ねえねえ、二人はいつ結婚するの?」
「本当に織田作なんかでいいの?」
「オレが貰ってやろうか?」
「咲楽にも妹か弟が出来るじゃん!」


「………………」


 コイツらも割と口が滑ってるな。


 そんな先の事は、御前らが気にすることじゃないだろう。


「え、ええ、いやその、あのえっと」


 余りAを困らせないで欲しいのだが。


「お前ら、その辺にし」


「はい!次、あの木に一番に辿り着いた人が警察です!それまでに私に捕まった人は強制的に捕虜です!」


「「「ほりょはやだー!!」」」


 蜘蛛の子を散らすように。
 さながら、鶴の一声。


 子供達は遠くの大木まで一斉に駆け出した。笑い声は、絶えない。


「…………悪いな」


 一言で、状況を一変させる。


 これが、
 物語を作る力、という奴か?


「いやいや全然何でもない事で……ペンも此れ位動いたらいいのにね、いいですのにね」


 前も云っていたその台詞。


 矢張り小説家については、一家言あるというか、重くなる。


「数冊出しているんだろ?


 書きたい時に書けばーー」


 Aの視線が、地に落ちた。



 俺の視線は、落ちなかった。



「書きたい時に
 書けないし、


 書きたくない時に、
 書かなくてはいけない」



 然し何時もならば、明るく振舞っていたと思う。
 

「未来がみえていれば、もうこんなに苦しむ事なんて……ないのかな」

「…………」


 未来が?


「………なーんて!」


 然しにぱっと、何時もの様に。


「………皆の所行ってきますので、織田作さんは休んでてくださいね!」


 そう、
 そうやって、いつも通り。


「あぁ、頼む」


 その背中を目で追いながら、


「…………」


 思考は彼女一色になる。
 風が強く吹いた。


 未来が視えれば、


 お前は、苦しまない?


「…………」


 その思考は答えを出せぬまま、
 ただ只管、ループする。


 Aの笑った顔と、


 Aの悲しい顔が、


 ただ只管に、巡りゆく。

33 海→←31 未来



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 織田作之助 , 太宰治   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 怜さん» 怜様、ご感想ありがとうございます!お優しいお言葉で、泣きそうでございます。これからも頑張ります! (2022年1月31日 20時) (レス) @page45 id: 05323f7eaa (このIDを非表示/違反報告)
- 場面を想像させる様な綺麗で幻想的な文に、しっかり作りこまれた物語。今まで読んだ織田作の夢小説の中で1番好きです。これからも頑張って下さい。 (2022年1月31日 1時) (レス) @page45 id: 64384c94d7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 柊 琥珀さん» 柊 琥珀様、ご感想ありがとうございます.......! 嬉しい.......! (2022年1月9日 0時) (レス) @page42 id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)
柊 琥珀(プロフ) - 書き方が好みだ……。 (2022年1月8日 17時) (レス) id: 17f9b038b0 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - Asukaさん» Asuka様、ありがとうございます!めっちゃ頑張って書きます! (2021年8月24日 20時) (レス) id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年6月27日 0時

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