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31 未来 ページ31

織田作之助が珍しく任務を難無く切り上げ、まだ太陽の高い中戻ると、


「Aねえちゃん足おそーい!」
「そんなんじゃ宝石盗めないよー」


「みんな速いよー……」


「…………」


 楽しそうに子供達と走り回っているAがいた。


 うん。
 元気なら、善い。


「…………」


 陽だまりの中にいるAは、
 きらきらと輝いて見える。


 何故?


「そうか」


 思えば、昼間の彼女に会うのは初めてかもしれない。


 会うのはいつも、夜の帳が降りた頃。


「「あ、織田作ー!」」


 気付いた二人が駆け寄ってきた。
 二人しかいない。


 という事は上だな。


 その場から三歩後ろに下がった瞬間、
 その地面に勢いのある水が浴びせられる。


「……っ」「!」「ぁー……」


 悔しそうな声が幽かに降ってきた。
 異能を使うまでも無い。


 そして持っていた水鉄砲を足元に置き、捨て身で飛び掛かって来たのでまとめて首根っこを掴んで、捕らえる。


「遊んで貰ったのか」

「うん!俺、今怪盗だから!」

「?」
 

 子供達の現在を把握すると、駆け寄ってきたAの背中には咲楽がすやすやと寝息を立てていた。


「おかえりなさい織田作さん。お疲れ様ですー。お早いんですね」

「嗚呼」


 えらく体調が良さそうだ。


「元気だな」

「やー、若さからパワーを貰いましたよ」


 Aはオレより歳下だろうと織田が思考すると、


「ねぇちゃん、次のお話は?」
「僕も警察やりたいよー」
「オレ魔法使いたい」
「織田作!織田作やる!」


 わらわらと、彼女の周りに集まるチビ達。


 そんな子供達を愛おしそうに見つめるAの横顔に、


 トクンと、
 心臓が波打った。


「話?」


 織田が尋ねると。


「すげぇよ!お題云ったら直ぐ面白ぇ話作ってくれんだ!」
「それで考えてくれた遊びが超楽しい!」
「ほんとそれ」
「織田作とは大違い」
「未来が見えてるみたいに、俺達の動き読んでくんだよー」
「あー、あれすげーよな!」


「ほぉ」


 賞賛の嵐。
 子供達のチカラは、とても強い。


 流石小説家、といった所か。


「いやー、やー、なんかこういうのは、ぱっと出てきちゃうんですよ」


 よく分からんが、Aが其れで善いなら、俺は何も云うまい。


 彼女を悲しませたくない。
 彼女を、傷付けたくない。


 それだけで、勝手に口が転がっていく。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 織田作之助 , 太宰治   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 怜さん» 怜様、ご感想ありがとうございます!お優しいお言葉で、泣きそうでございます。これからも頑張ります! (2022年1月31日 20時) (レス) @page45 id: 05323f7eaa (このIDを非表示/違反報告)
- 場面を想像させる様な綺麗で幻想的な文に、しっかり作りこまれた物語。今まで読んだ織田作の夢小説の中で1番好きです。これからも頑張って下さい。 (2022年1月31日 1時) (レス) @page45 id: 64384c94d7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 柊 琥珀さん» 柊 琥珀様、ご感想ありがとうございます.......! 嬉しい.......! (2022年1月9日 0時) (レス) @page42 id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)
柊 琥珀(プロフ) - 書き方が好みだ……。 (2022年1月8日 17時) (レス) id: 17f9b038b0 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - Asukaさん» Asuka様、ありがとうございます!めっちゃ頑張って書きます! (2021年8月24日 20時) (レス) id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年6月27日 0時

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