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22 Sugar ページ22

「じゃあ頑張った織田作さんも、どーぞっ」


 ずいっと。
 口前に。


「…………」


 カレェを食している者に、容赦ない。


 爽やかな苺の香り。
 綺麗な彼女の瞳。


「…………」


 甘い。


 元々あった辛味と相乗し、


 とてもとても、甘美。


「この苺アイス、めっちゃ美味しいですよね!」


 そのままそのスプーンですくって、Aも一口含んだ。


「はっ」


 そして何かに気付いたらしい。


「ーーそうか……仕事を頑張れば、幾度とパフェが食べられるのでは!」

「…………」


 仕事をしなくても食えるのでは?


「うわぁ!何かよく分からないけど、俄然書く気が湧いてきた!」

「書くのか」


 今日のテーブルには、本は一冊も出ていない。


 読む、ではなく。
 書く。


「どんな話だ」

「特に決まってないです!」

「……ふ」


 つい、零れる。


 お前が、
 Aが書く物語。


 それは、是非。


「見たい、Aの本」

「えー。どーしましょー」


 まるで酔っている様だ。
 どちらもアルコールを摂取しては、いないというのに。


 昨日の事など無かった。


 そしてこう、
 和やかであればいい。


 満ち足りている彼女がいれば、それでいい。


「分かりました分かりました、じゃあ最初の私の本を持ってきますから」


 Aが嬉しいなら、それで。


「明日は読書会ですね」


 そうしてまた一口、カスタードクリームの挟まったパイ生地を頬張る。


 そうしてまた一口、スープエキスを吸い込んだ柔らかい羊肉を頬張る。


「…………」



 違う世界の住人だと思っていたのに。



 今日も、
 明日も、


 同じ事を、二人で、しているから。


「あれ。織田作さん、何かいい事思い出しました?」

「いや」


 明日会えたら、


 どんな話をしよう。


 明日会えたら、


 どんな顔が見れるだろう。



「善い時間だと、思っているだけだ」



 明日会えたら、


 どんな自分を、
 見せてみよう。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 織田作之助 , 太宰治   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 怜さん» 怜様、ご感想ありがとうございます!お優しいお言葉で、泣きそうでございます。これからも頑張ります! (2022年1月31日 20時) (レス) @page45 id: 05323f7eaa (このIDを非表示/違反報告)
- 場面を想像させる様な綺麗で幻想的な文に、しっかり作りこまれた物語。今まで読んだ織田作の夢小説の中で1番好きです。これからも頑張って下さい。 (2022年1月31日 1時) (レス) @page45 id: 64384c94d7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 柊 琥珀さん» 柊 琥珀様、ご感想ありがとうございます.......! 嬉しい.......! (2022年1月9日 0時) (レス) @page42 id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)
柊 琥珀(プロフ) - 書き方が好みだ……。 (2022年1月8日 17時) (レス) id: 17f9b038b0 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - Asukaさん» Asuka様、ありがとうございます!めっちゃ頑張って書きます! (2021年8月24日 20時) (レス) id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年6月27日 0時

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