17 標的 ページ17
「………………」
織田はその度の入っていない眼鏡を掛け直した。
煌びやかなシャンデリア、
最上質な絨毯が広がり、絢爛豪奢な料理の数々、
上品に酒のグラスが踊る。
艶やかな正装のゲスト達、気品ある会話、心地好い重奏が流れる、優雅な一時。
ウエイター姿の彼は、無言でグラスを持ち運ぶ。
これが今日の任務。
こんな任務に、
こんな所に、
何故、俺がいるのかと云えば。
「そうですねぇ。次の私の新作、不敬罪で王から死刑を云い渡されるんですけど妹の結婚式の為に親友を犠牲にしてひたすら走る青年の話とか考えてますよぉ」
その元凶は、
上等な着物を着てのらりくらりと、まるで小説家の様な出で立ちの黒い青年。
「はあ全く、小説なんて書くもんじゃないですよねぇ。転職しようかしら……あ、探偵とかどうです？」
このポートマフィア最年少幹部によって、オレは此処にいる。
この任務を完遂するメンバーに、いる。
「ボーイさーん、一杯おくれー」
全く、呑気な奴だ。
トレーからグラスを取り、
耳元で囁く。
「Aちゃん、今日は一段と綺麗じゃない」
「…………」
そして彼は、うふふっとスキップして何処かへ行ってしまった。
「………………」
そう。
彼女がいる、ここに。
偶然か否か、
標的がこの催しに参加していて、
偶然そこに、Aがいた。
「…………」
にこにこと、然し何時もと違う種の笑みで、恐らく文学界の大御所であろう奴らと談話しており。
いつもより輝いてみえた。
その薄紅のドレスも、
その唇の潤んだ赤も、
全ての身振り、所作、
あぁ
眩しい。
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午(プロフ) - 怜さん» 怜様、ご感想ありがとうございます！お優しいお言葉で、泣きそうでございます。これからも頑張ります！ (2022年1月31日 20時) (
レス) @page45 id: 05323f7eaa (このIDを非表示/違反報告)
怜 - 場面を想像させる様な綺麗で幻想的な文に、しっかり作りこまれた物語。今まで読んだ織田作の夢小説の中で1番好きです。これからも頑張って下さい。 (2022年1月31日 1時) (レス) @page45 id: 64384c94d7 (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - 柊 琥珀さん» 柊 琥珀様、ご感想ありがとうございます.......！ 嬉しい.......！ (2022年1月9日 0時) (レス) @page42 id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)
柊 琥珀(プロフ) - 書き方が好みだ……。 (2022年1月8日 17時) (レス) id: 17f9b038b0 (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - Asukaさん» Asuka様、ありがとうございます！めっちゃ頑張って書きます！ (2021年8月24日 20時) (レス) id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：午 | 作成日時：2021年6月27日 0時
