02 夢 ページ2
また、寝てる。
そう思いながら寝ぼけ眼で、
状況を確認する。
「…………んむ」
薄ら明るい店内の灯りと、外から差す車のライト。静かなジャズに、目の前のコーヒーカップ。
またマスターに迷惑かけちゃった。
むむう、大人なのになぁ。
脳は起きたけど、身体は覚醒しない。
動かしやすい瞳を動かすと、
目が合った、気がした。
「………………」
あ、
あの人だ。
じゃあ、これ夢か。
じゃあ、もう少し寝て……
…………ん？
いい香り？
カレェの匂い？
あ。
あの人、だ！
うんうんうん！
おっとっと、おっとっと！
「…………」
目、覚めた！
店内を見渡すと、矢張りあの人と、そしてマスターだけがいるから。
「…………」
脳内が、激しく揺さぶられた。
目まぐるしく、
目まぐるしい創造が、
回る。
「………………」
い
今から
今から謎の取引の話とかするのかなぁ！
マスター実は、あの老齢な見た目で中身はイケメンの怪盗とかなのかなあ！
それとも怪しげな情報を交換するのかな。
あの人はこの街随一の情報屋で、秘密結社や擂鉢街に至るまで幅広くスパイしてるとか！
ヤバい、
私退散しないと、命取られちゃう！
「…………………」
なんて。
その間に本を仕舞って、珈琲を飲み干し、会計を済ませる。
「…………」
あら、マスター、昨日寝てないのかな。
瞬きが深いし、きっとあのカレェの仕込みに時間を掛けたのだろう。
恐らく、お釣りを零してしまうやも。
そう思い、釣りを受け取る両手にして範囲を広げると、思った通り、硬貨は疎らにあちこちへ。
うん、落とさなかった。
「ご馳走様」
カランカラン。
外は暖かい風が辺りを包み、街の喧騒は眩く、いつも通りのヨコハマ。
「くぁ」
欠伸を一つ。
滲んだ視界で、思考回路はゆっくり回る。
明日こそ、
私は本の頁を進められるだろうか。
一体この本は、どの様な物語なのだろう。
「早く読みたいのになぁ、続きが気になるのになぁ」
この眠気、どうすればよいのだろう。
その本の読者であり、
その本の作者ではないAは、
ゆらゆらと、
うつらうつらと、帰途へつく。
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午(プロフ) - 怜さん» 怜様、ご感想ありがとうございます！お優しいお言葉で、泣きそうでございます。これからも頑張ります！ (2022年1月31日 20時) (
レス) @page45 id: 05323f7eaa (このIDを非表示/違反報告)
怜 - 場面を想像させる様な綺麗で幻想的な文に、しっかり作りこまれた物語。今まで読んだ織田作の夢小説の中で1番好きです。これからも頑張って下さい。 (2022年1月31日 1時) (レス) @page45 id: 64384c94d7 (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - 柊 琥珀さん» 柊 琥珀様、ご感想ありがとうございます.......！ 嬉しい.......！ (2022年1月9日 0時) (レス) @page42 id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)
柊 琥珀(プロフ) - 書き方が好みだ……。 (2022年1月8日 17時) (レス) id: 17f9b038b0 (このIDを非表示/違反報告)
午(プロフ) - Asukaさん» Asuka様、ありがとうございます！めっちゃ頑張って書きます！ (2021年8月24日 20時) (レス) id: 4dcd31a7db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：午 | 作成日時：2021年6月27日 0時
